チョコよりも甘い 1/4


2月14日。

その日の事を世間ではバレンタインデーと呼ぶ。

大好きな人にチョコをあげるという、一大イベントなのであった。

また、貰う方もそわそわとした1日を過ごすのである。



「もう・・・また失敗した・・・」

これで何度目かのため息をこぼすゆき。

そんなゆきも、愛する彼氏ジョルノの笑顔を見たいが為にチョコ作りに奮闘していた。


しかしあまり料理が得意ではないゆきは現在、ことごとくチョコ作りに失敗しているのであった。



「おかしいな〜・・・ちゃんと書いてあるとおりに作っているのにっ!!!」


もう、やーめた!

お菓子のレシピが載っている本を床へ放り投げる。


そばにあるイスに座り、無造作に置かれた失敗作のチョコを乱暴に掴み囓る。


「・・・あまっ」

口の中に広がるチョコのふわっとした甘み。
微かに広がるカカオの苦みが、そのチョコの甘さを引き立たせる。

・・・なんだ、意外においしい。

味は悪くないのに、ゆきの作るチョコは如何せん形が悪いのだった。


甘いチョコを食べて冷静になったゆきは、当初の作る目的であったジョルノの花が飛び散るような笑顔を思い出す。


投げた本を拾い直し、再びゆきはテーブルへと向かう。

もう一度袖を捲り上げチョコレート作りを開始した。


そしてなんとか今度こそは投げ出さずに、ハート型のチョコレートを作ることに成功したのだった。


そして丁寧にラッピングを施し、いよいよ明日のバレンタインデーに向けての準備を終えた。

明日はジョルノとデートなのだ。


ジョルノの喜ぶ顔を想像し、ゆきは幸せな気分で布団に入った。

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