「この街に、何か変わったことや、不思議な事件はありませんか?」




突然家を尋ねてきたお客さんは、真っ黒な服に身を包み、フード深くを被っていた。



白髪のおじいさん?かな。





『・・・いえ、わかりませんね』




少し怪しいなと思いながら、わたしはそう答えた。




「そうですか、じゃあもし何かあったら言ってください。僕は黒の教団の者なので」



『黒の教団?』



「簡単に言えば、AKUMA退治をするエクソシストです」



そういってフードをとり、にっこり笑ったその人はおじいさんではなく、まだ10代くらいの男の子だった。



顔に大きな傷があるけど、わたしはあえてそこには触れなかった。




『エクソシストさんなんですね。わかりました。何かあったらいいますね』




そういって1つお辞儀をして、失礼しますと私は扉を閉めた。







―バタン






『ふう・・・。』



わたしは一息ついて、テーブルに座った。





(あの人に相談したほうがよかったかな)






“この街に、何か変わったことや、不思議な事件はありませんか?”




本当は、1つ心当たりがあった。






それは、わたしの母の形見の指輪。



母がつけていたときには何事も無かったのに、母がいなくなり、その形見として指輪をわたしが手にしてから、指輪に変化が起こった。




わたしが指輪をはめるたびに、宝石の部分からバラのツタが伸び、真っ赤なバラが咲く。



はじめは驚いたが、きっと母がわたしが寂しくないように想いを残してくれたのだろう、そう思ってわたしはその指輪を宝石箱の中に大切にしまっていた。







久々にそれを取り出して、指にはめてみる。




するすると伸びるバラのツタ。


ふわっと咲く、真っ赤なバラ。







これがそのAKUMAとかいうのと関係があるのかな。






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