首筋に執着心


※ただ噛んでるだけです。
※バイセンさん×フラッツ君(カヨさん×コヤさん宅よりお借りしました!)












昼食も済ませ、午後から仕事をサボろうと、バイセンは外を目指し廊下を歩く。

「待て」

呼び止めたのはフラッツだ。
仕事真面目な竜人。
がっしりとした身体は、バイセンにとっては噛みたくて仕方ないものだ。

「なんだよ、トイレぐらい行かせろ」

悪びれもなく嘘をつき、フラッツに背を向け歩き出す。

「どうせトイレ行っても帰ってこねぇだろ。仕事しろよいい加減」
「あー、トイレ行ったらするわ」
「お前……!」


うるさいフラッツをのらりくらりとかわしていたら、どうやら沸点が低いようだ。
肩に鈍い痛みが走る。
壁に叩きつけられたのだ。
じろりとフラッツを睨むと、青筋を立てたフラッツが肩を抑えてきた。

「いい加減にしろ!」
「肩、痛えんだけど」
「お前が仕事するなら離してやる」

本当に離す気が無いのか、ギリギリと肩に指が食い込んでいく。
また面倒くさい男だと思いつつ、バイセンはフラッツの首に目をやった。

「……お前の首、ちょっとくれぇ噛んでも千切れなさそうだな」
「お前、聞いてんのか人の話…って」

肩を抑えていたフラッツの腕を内側から払う。
力を入れていたためフラついたフラッツを抱きとめた。
と同時にバイセンは首に噛み付く。
がぶり

「いっ……!!」

いきなりの事にフラッツは抵抗できなかった。
首が痛い。
そう感じた後、バイセンの歯がギリギリと食い込んでいく感触。
何してんだ、こいつは? バカなのか?
思考も追いつかず、フラッツはされるがまま痛みを感じるだけである。

別に殺すつもりはない。
ただ噛みつきたいだけだ。
バイセンは悪癖をただ行動に移しただけだった。

ギリ……

首に食い込んだ歯に力が入る。
溢れる血が口を伝い、首を伝い、襟を濡らしていく。

「いっ…やめっ…」

首を噛んでいるからか、フラッツの言葉は途切れ途切れだ。
それにバイセンは口だけにやりと笑う。
べろりと舐めれば、びくりと反応する。
フラッツは顔を歪め、バイセンを睨んだ。

「気持ち悪ぃ……」

吐き出した言葉をどう受け取ったのか、バイセンは首への行為をエスカレートさせていく。

「っ、あ?」

噛まれた傷口は痛い。
痛みはあるが、今は柔らかいものが首を這っていた。
じゅる
流れ出る血を啜る音がフラッツの耳を犯す。
べろりと這う舌の感触が気持ち悪い。
頭がついていかない。俺はどうしてこんな、男に。

「うあっ」

首を吸われ、声が出る。
気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。
俺もこいつも男なのに。
頭の中でぐるぐるとそればかりが回る。
身体に力が入らない。
突然の行為にフラッツは余裕を失っていた。
べろりと傷口を舐め、首からバイセンが離れる。
にやにやと笑う口元には赤く濡れている。






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