Novel


出会いは衝撃だった。
右脇腹を金属で殴られた様な衝撃を受けて、受け身を取ることもできずに地面に伏した。
痛みのあまりに意識も朦朧として、倒れる俺の顔を覗き込んできたツインテールの赤髪が視界に入った。
一体何が起こったのか。
右脇腹は痛みが熱を持っていた。
熱い、何がいきなり、どうして。
何も分からずにそのまま意識を手放した。


衝撃の正体がふわふわの金髪女による飛び蹴りだと知ったのは、介抱してくれた幼馴染、チェルヴィエーレから話を聞いた時だ。

「ふわふわの金髪?」
「そうそう。アリーチェがそう言ってた」

アリーチェ。
最後に視界に入ったツインテールの赤髪の女の子。
スラム出身の幼馴染−−イヴァーノがスラムで拾った女の子だ。
どうやら意識を手放した後、金髪女はさっさと立ち去ったらしい。
アリーチェはすぐさま軍で医療班として働くチェルヴィエーレを呼びに走ってくれたと、チェルヴィエーレから聞いた。
その後は、イヴァーノが迎えにきたんだろう。
今俺の部屋にいないなら、きっと迎えに来たイヴァーノと家に帰った筈だ。
俺が起きるまで待ってくれないイヴァーノに少し薄情者めと思った。

「とんだ災難だったな。これを機にロリコン趣味をやめたらどうよ」
「ただ散歩してただけだっつうの。人の話も聞かずになんなんだ、その女は」
「ヴィルの顔からペドフィリア臭が滲み出てたんだろ」

遠慮無しに貶してくるチェルヴィエーレに舌打ちを返した。

ペドフィリアだロリコンだとよく貶される。
生まれてこのかた、恋人ができたことがない。
それに小さい子供が好きという、輪をかけて変態じみた自分の性癖を、人は気持ち悪いと罵ってくる。
別に小さい子供を性愛対象として見てないのに、それを人は分かってくれない。
もう慣れたことではあるが、少しだけ心にチクチクと棘が刺さっていく。

「ああ、そういえば、金髪女は小さい子供だったらしいよ」

チェルヴィエーレがにやりと笑って言った。

「ロリコンだから嬉しいだろ」
「嬉しい訳あるか。デコ助が」

ぺしんとチェルヴィエーレの額をはたく。
つまらなさそうに口を尖らせるチェルヴィエーレに介抱してくれた礼を言うと、さっさと帰れと追い出した。
最近好きな人ができたらしいチェルヴィエーレは長居すると惚気出すからいけない。
チェルヴィエーレを玄関まで見送った。
もう今日はさっさと寝てしまおう。
痛む脇腹を摩りながら、ベッドへ向かった。




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