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夏ちゃんという新たな天使が生まれ、日向家は天使だらけだ。パラダイス過ぎる。翔ちゃん、夏ちゃん、って呼んだら満面の笑みでかけ寄ってくるんだぜ・・くっそ可愛い!たまらん!!ふおおおと言いながら二人まとめて抱き締めて髪の毛ぐしゃぐしゃにしながら撫で回すときゃーとか言いながら嬉しそうにしてくれて・・・はぁぁぁお姉ちゃんはお腹いっぱいです!

翔陽はやっぱりあの日向翔陽だ。幼稚園に通い出してからは驚く程活発になり、毎日泥だらけになって遊びまくっている。どんどん負けず嫌いになり、運動会なんかで大活躍中だ。
外でたくさん遊ぶからこそ彼の野生的な身体能力が鍛えられるのだろう。というわけで野生児となって頂きたいので放置だ。
あの小さな巨人をテレビで見るまでは、バレーに興味を持たないだろうからネ。

そんな私は小学生になってから、地元の少女バレー部に入った。
うん、まぁ少々ズルいが小学生の間はあまり勉強しなくても成績は毎回トップクラスをキープしていけるから、バレー脳を鍛える。
何せ前世でバレーを辞めてからブランクがあり過ぎる。
何よりも私が欲したのは怪我をした際の対処方法や、予防方法などトレーナー的部分の知識だった。
そして、色んな選手を観察し、目を鍛える。
バレーボールに関わらず、スポーツ選手でレギュラーとなると、不調や痛みを隠す事がある。まぁ自分がそうだったんだけどね。それで無理をしてコートに立てなくなるとかが無いように。
それと、その人に合った練習方法なんかを学ぶ。
人には得意不得意がある。そして身体構造はそれぞれ違う。努力で補う事は出来るだろう。けど、適切な努力をしないと意味が無い。
私が入る頃、烏野には指導者がいないはずだし。
まぁ基礎を知り、少しでも翔陽に教えてあげたいという思いがあるからだ。
・・・トス上げてしか言わなそう。ま、まぁジャンプが高くなるに越した事は無い
中学生になったら選手ではなく、バレー部のマネージャーになる。目的は小学生時代の延長プラス、マネージャーの仕事を覚える為だ。
そして高校は絶対!烏野に入る。男子排球部の、マネージャーになる!


私が何より恐れているのは、『私』という異分子が入る事によって、誰かが欠けてしまわないかという事だ。なんだっけ、バタフライ効果?が起こる事が怖い。でも未来は何かしら変わる可能性が高い。補習で遠征出遅れとかは変わっていい未来だと思う。
けど、色んなチームと対戦し、出逢いを繰り返し悔しい思い、楽しい思いを共有して成長していくのだ。それは絶対変えてはいけない。
例えばの話だけど、翔陽が入学するとき、3年、2年メンバーの誰かが欠けてたら?怪我してたら?(ノヤと東峰さんは置いといて)・・・春高に行けなかったら?
怖くてたまらない。考えるだけでゾッとする。だったら関わらなければいいのかも知れない。けど、何よりもあのメンバーが好きだ。応援したいから関わらないままではいられない。ただの私の欲望だ。自分勝手で最低だと自覚しているし、矛盾してる事はわかっている。
だからこそ武器を増やすのだ。
考え過ぎたら進めなくなる。きっとなるように、なる。


そして中学に入学した頃
テレビで小さな巨人という言葉がでた。
その年、翔陽の誕生日プレゼントは、バレーボールになった。






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