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「おおっ!!あれはっ・・・あれはもしや」
「「「スカイツリー!!?」」」
「いや、あれは普通の鉄塔だね」
「ぶっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」

は〜るばる〜きたぜとうきょ〜!良いお天気!あ、はい、うかれてすみません。遠征にやってきました!
夜中に集合して、到着!皆揃って到着〜!

「お、烏野の母ちゃん。」
「わー黒尾さんお久しぶりです〜(母ちゃん?!何故その異名を知ってんだ?!)」
「おー久しぶり。おっ、ちっこいの、増えてんな。」
「ヒィッ」
「やっちゃんに手出しちゃダメですよ!」
「出さねーよ!・・・んで、聞きたい事あんだけどよ。」
のしっと頭が重くなったと思ったら黒尾さんの肘置きにされている。
「お、重っ・・・!」
「烏野のTシャツのセンスどうした?」
「え、あれは特別なんですよ!しかも翔ちゃん可愛いじゃないですか!超似合ってる!つーか重い!」
「オゥ・・・お前も持ってんの?」
「持ってますよ!お母さんって書いてあるんですー!いいでしょー羨ましいでしょー!」
「ぶひゃひゃひゃマジ面白ぇな!」
「それより重い」
「母ちゃん高さが丁度良いな」
「産んだ覚えは無い!」
「ひゃっひゃっひゃっーーっと。」
ふいっと軽くなったと思ったら大地くんだ。

「こらこらウチの大事なマネージャーに手出すなよ」

笑顔で怒ってる!こわっ!

「悪ぃ悪ぃ。」
ニヤニヤして絶対悪いと思ってない!怒った大地くんは怖いんだからね!とニラんで見るもののニヤニヤしてるだけだ。このやろう。

「うおおおっ!!」

叫び声が聞こえたと思ったらやっぱり猛虎くんだ。ズシャッと膝をつきながらやっちゃんが増えた事を嘆いている。
「猛虎くんだ!久しぶり〜!」
「はっ!!お、お母さん!」
「いや産んだ覚えは無い」

何故、音駒にお母さん扱いされているか謎過ぎる。うーん・・・犯人は田中あたりな気がするけど。


その後、どうやらウチが一番最後に到着したようで、選手はウォーミングアップ、マネは先生含めミーティングだ。
梟谷は雀田さん白福さん。生川からは宮ノ下さん。森然は大滝さん。うわーうわーマネがいっぱいだー!嬉しいなぁ!
皆2、3年で、1年はやっちゃん1人だけど、皆優しそうでやっちゃんもホっとしたようだ。マネがいない高校や、1人のところはうちや梟谷がヘルプにいくのでそのスケジュールを決める。そして、その後食堂など案内され、早速準備していく。
ドリンクなどを配り終えたら昼ごはんの準備。人数が多い分忙しい〜〜!!
だけどさすがマネさん皆手際が良い!凄い勢いで作り終わり、ご飯タイムだ。
その際に烏野のスコアを確認する。
うん、1周目は勝ったり負けたり。やっぱり梟谷と音駒は勝ちが多いな。

さぁ、翔ちゃんは、烏野が危機感を感じるのは今日か明日か。・・・って言いながら結局明日何だろうなぁ。


のしっ


「・・・黒尾さん・・・」
「おっよくわかったなーエライエライ。」
「重い・・・」
ご飯を邪魔してきたのは黒尾さんだ。また頭に肘を置かれてる。
「ヘイ黒尾!な〜にナンパしてんの!」
「木兎」
「おっ烏野の可愛い方の子だ〜!」
「いや、こいつは烏野のお母さんだぞ。」
「産んだ覚えは無い。そして頭の上で会話すんな」
「ぶふーー!!!」
「お母さん?!子供いんの?!」
「いるか!初めまして木兎さん!」
「おう初めまして!俺の事知ってんの?!さすが俺!」
「この状況で挨拶とか!うっひゃっひゃっひゃっ」

だから重いって聞けよ誰か助けて!と思ってたら「木兎さん、黒尾さんも何やってるんですか」と、天の声。違う赤葦さんだ!わーわー本物ー!
「木兎さんがご迷惑をお掛けして・・・」
「え、あっいえいえとんでもないです。」
「赤葦ぃー!俺なんもしてねぇぞ!」
「そうですか。・・・黒尾さんも」
腕をひょいっと退かせてくれた。神か!!
「ありがとうございます!!神!」
「・・・イエ・・・(紙?)」
つい口に出してしまった!あ、うん赤葦さんにちょっと引かれた。ペコっと頭を下げたと思ったら2人を連れてそのまま去って行った。



・・・で?結局何しに来たんだよあの2人・・・!






そんな昼ご飯も終わり、午後は練習お手伝い。
・・・やっぱり2回りもすると、変人速攻はついて来られるようになる。

翔陽は、考えている。進もうとしているんだろう。悩んで、答えを出す。
私に出来る事は、後押ししか無い。




その日の夜はまぁそうなるだろうカレーだ。
しかも、今回はポークカレーだった!これは!と思っていそいそと温玉を作っておく。

「影山〜!」
「ハイ?」
影山が、カレーを持って席に向かう前に、こいこいと手招きすると、テケテケやってくる。
ふっふっふっ・・・だいぶ懐いてきたなぁ。可愛いなぁ。

「はいっ!」
と、ぽとんとカレーの上に温玉乗せてあげると、みるみるうちに顔がパァッと輝く。
「〜〜!!!」
「良かったねぇ、今日はポークカレーだって!」
「あざっす!!!」

全力でお礼を言われてしまった。目立つ!


「あー影山だけずりぃ!姉ちゃん俺は?俺は?!」
「はい、超半熟たまご!」
「うほーっ!」

あぁぁぁぁ可愛い・・・!キラキラしてるー!
そんな翔陽をユルユルの顔で見つめる。

頑張って欲しいなぁ。
とか思ってたら、意外にも卵が人気のようで次々と俺ゆで卵!とか生!と注文が入りだして大変な事になってしまった。ふ、不覚・・・!!でもお陰様で今まで話した事のない人とも話せたから良かったということにしよう、うん。

そんな1日目の夜、事件は起こった。

烏野マネ3人でお風呂に入ったあと、私は飲み物を買いに1人自販機へ行く。
その時、「キャアアァーーー!!」と悲鳴が聞こえたのだ。
あの声はやっちゃんだ!!何事かと急いで2人の元へ向かう

「やっちゃん?!」
「さちさんっ・・・!!!」

そこに居たのは真っ青な顔をして座り込むやっちゃんと、彼女の肩を抱くようにして屈み、廊下の奥を睨んでいる潔子ちゃん。

「どうしたの?!」
近くに走り寄り、しゃがんで目線を合わせる。

「・・・しっ知ら、知らない人がっ・・・!!」
あわあわと口を震わせ話すやっちゃん。



・・・知らない人?




なんとなぁくオチを予感する。これはGW合宿の時の翔ちゃんと同じパターンだ。つーかやっちゃん、そりゃ知らない人ばっかりだよ此処・・・。

潔子ちゃんが睨んでいる廊下の奥には2人の人影。背が高い。180くらいか。

あぁ・・・烏野って身長ある人は大体ひょろっとしてるしなぁ、がっしり大人体系は少ないからやっちゃんサイズからすると怖いか。

「やっちゃん、大丈夫、大丈夫だよ。」

そのまま
人影に近付いていくと背後から「さちさん危険です!変質者ですよぅ!!!」と言われた。

「あははっ変質者言われてますよ!」

「ヘイヘイそこのチビちゃん失礼だぜっ!」
「うわーショック。」



そこに居たのは風呂上がりの黒尾さんと木兎さん。

そのまま3人でやっちゃんに近寄って行く。

「ほらほら、音駒の人と、梟谷の人だよー。」

「怖くないですよー。」と棒読みで話す黒尾さん。

やっちゃんは更に真っ青になり「ひあああ申し訳ございませんんんー!!!」と土下座。ズシャァァァって音がしたぞ今!もはやパニックだ。

ま、まぁ気持ちが分からなくもない。風呂上がりのお二人は髪が下されてるから知らない人に見えるだろうなぁ。
いやーしかしこの人達の髪を下ろした顔を見れるとはラッキーだ!普通にイケメンだなぁ。うん、只のイケメンだ。素晴らしい。目福だわ。

「ん?なーに母ちゃん。じっと見つめちゃって」
「いやー普通に格好いいですね。」
「「え。」」
「お2人とも何だかんだで優しいし、黒尾さんは周りの事も良く見てるしモテそうですね。」
「・・・母さん・・・」
「だから産んでないって。」
「俺は?!俺は?!」
「えー・・・あ、試合の時は頼りになるまさにエースって感じで格好良いと思いますよ。」
「よっしゃー!女子から格好いい言われたー!!へいへいへーーい!!」
「木兎、お世辞って知ってるか」
「あははっ夜ですのでお静かに。」
「あーっ!今の!母ちゃんっぽい!すげー!」
「そうだろそうだろ」


・・・夜中にこのテンション疲れてきたわ。


「やっちゃんもう大丈夫そう?」
「あっハイぃ!!」
「うん、夜だから静かにね。」


「・・・お前ら何やってんだこんなとこで。」

やっちゃん大丈夫そうだしそろそろ部屋へ戻ろうと思ったらお風呂の方から大地くんと東峰が。

「ヒィィィ!!しっ知らない人ぉぉ!!」

「ぶはっ!やっちゃん!大地くんと旭くん!東峰だよ!成人した変質者じゃないよ!」
「ひなちゃんヒドい・・・!!」
「ギャヒーー!またしても申し訳ございませんんんん!!!!」
「落ち着いてやっちゃん!土下座しなくていいから!!」


その後は何とか落ち着いたやっちゃんと潔子ちゃんと、また変な事になったら駄目だから、と大地くんが部屋まで送ってくれるとの事で、4人で部屋へ戻る。

漸く部屋に着き、「ありがと大地くん!」とお礼を言って、やっちゃん、潔子ちゃんに続き部屋に入ろうとしたら突然腕を引かれる。

「わっ」

振り向くと大地くんが眉間に皺を寄せてこっちを見ている。え、ニラんでる?怒ってる・・・?

「大地くん・・・?」

ハァ、と溜息を吐き、目線をそらせながら

「あんま隙き見せんなよ」

そう言って帰って行った。











す、好き?ファンってばれた?!あっ隙か?!

えぇ・・・?どーゆー事?!






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