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第3セットも終わり、武田先生のポエミーなお言葉も頂いた。
せっかく良い言葉なのにうちの子達、アホの子ですみません・・・。


「日向さん!」
「はい?」
「僕、今日改めて指導者の必要性を感じました!必ず説得してみせますから!!」

お、おぉ・・・めっちゃ燃えてる・・・!鼻息が尋常じゃない!
ふふふ、もー本っ当良い先生だなぁ!!
「ハイ!お願いします!!」
がっちり握手しておく。




片付けも終わり、後は帰るだけ。潔子ちゃんと2人で最終忘れものチェックをし、追いかけるよう体育館を後にする。乗ってきたバスの駐車場までもう少しというところで、何やら皆が立ち止まっている。
潔子ちゃんとお互い顔を傾け「何かあったのかな?」「さぁ?」なんて言いながら近付いていくと。
「うわっ及川さんだ・・・何やってんだろ」
「・・・?誰?」
「最後に凄いサーブ打ってた人!潔子ちゃん声掛けられてない?大丈夫だった?」
「・・・うん、話した事無いと思うけど。」

アレっ潔子ちゃんの事ナンパしてなかったっけ?潔子ちゃん的に眼中になかったから覚えてないとか?わからん!忘れちゃってるなぁ。っというか何でまたこんなとこにいるんだろ?あっそーいやなんか影山を煽るよーなこと言ってたっけ。さっきの全体挨拶のとき居なかったよね。
・・・えっじゃあ1人でここにスタンバイしてたの?



1人で?
ポツンと?



なぜ。


@一人でカッコいいと思ったから
A飛雄ちゃんとお話したかったから
B俺、自由!

・・・うん、全部な気がする!
なんて事を考えてちょっと面白く思ってると
「あっさちちゃーーん!!」
「げっ」
見つかったー!!めっちゃ手振ってるし!
しかも駆け寄ってきたー!!爽やか笑顔ー!
残念ですが手を振り合う関係では無いので、ペコリとお辞儀する。

もーやだ・・・烏野の皆、ポカンとしてるし!仲良しじゃ無いし私こそポカンとしたい気分です!早く帰りたいのに!はっ!ここで潔子ちゃんがロックオンされる訳にはいかない!守りたい、その笑顔。
パッと潔子ちゃんに、「皆を連れて先にバスに行ってて!後から行くから!」
というアイコンタクトを送る。

どうやら伝わったようで小さくコクリと頷くとさーっと通り過ぎて行ってくれた。良かった良かった。


「うわーまた逢えて嬉しいなぁ!」

「・・・お疲れ様です。」


そうだよスルーしよっと!
大体この人に引き止められなかったら緊張でプルプルしてる可愛い翔陽が見れたのに!考えたらイラっとしてきた・・・!

「では失礼します」

ぱしっ
え?何の音かって?
oh・・・
再び捕獲された・・・

「あの、離して下さい」
「ん〜もう少し!ね、やっぱり連絡先交換しない?」
「シマセン離して下さい」
「あはっ!ほんっとツレないなぁ!でもそこが良いね!」
「ソーデスカ離して下さい」
「俺さ、結構モテる方なんだけどここまで嫌がられたの初めてだから意地になってきちゃった!」
「知ランワ離して下さい」
「大体なんで岩ちゃんなのー?岩ちゃんがいいとか言われたの初めてなんだけど!」
「ソーデスカ離して下さい」
「あははっ!ほんと面白いねさちちゃん!え〜嫌って言ったらど〜す「さち」
チベスナ顔でひたすら断ってたら、ニッコリ笑顔の大地くんが現れた!ひぇっこわっ!笑顔怖い!

「アレ〜主将君じゃん」
おっとこちらも笑顔で対応!どうしたの〜じゃ無い!大地くんが怒ってる!!
「ごめんね大地くん、もう出発時間だよね!ほら及川さん、既にチームに迷惑かけてるんですから、離して下さい!」
「・・・ふぅん・・・へぇ、成る程ね」
ちょ聞けよ!
「・・・及川、離してくれるか。」
「・・・ハイハイ、残念、邪魔が入っちゃったね。」
途端に腕が離されるのでホッと一安心。
「じゃっ失礼します!行こう大地くん」
及川さんと私の間くらいに居た大地くんの後ろに回って背中をぐいぐい押して進ませる。

「・・・」

「バイバイさちちゃん!今度会えたらまたアタックしちゃうから待っててね〜」

うん、無視しよう。
それよりも大地くんがおこです!てててっと大地くんの隣に並んで歩き出す。

「遅くなって本当にすみません・・・」
「・・・ん、お前のせいじゃないだろ。」
「う?う〜ん」
「・・・あー・・・邪魔した、か?」
それは想定外!!
「まっまさか!!助かったよ!本当にありがとう!!も〜しつこくて!!」
「(ほっ)そうか。ま、でも気を付けろよ」
「(まっままままた頭ぽんぽん)うっ?!ん!」
そのままバスまで駆け足で戻り、先生に謝って、ようやく青城を後にした。


及川さんキャラ変わってない?!あんな感じなの?まったくもー!・・・まぁ潔子ちゃんを守れたから良しとしよう、うんうん。
っそれよりも!澤村さんマジで何なんですかー?!うぅ、試合中も格好良かったのに!←ちゃんとがっつり見てました。ナンパされてたら助けに来てくれたし!・・・あ、いや違う皆に迷惑かけたからだ。だめだ乙女目線で都合良く解釈してしまう私の脳!
もう嫌だ頭ぽんぽんやめてほしい・・・トキメクんですけど!!見上げた笑顔がさ、優しいのも辞めてほしい・・・だってさ、好きな人から頭ぽんぽんとかされてさ、あ、あんな優しい目で見られたらさ、ちょっと期待しちゃわない?!前世は彼氏がいた事もあるけど、決して多くは無かった。本当にモテなかったのだ。それが好きな人にぽんぽんされたらもう!
そっ!それに他の女子にぽんぽんしてるところなんて見たこと無い・・・ほら、やっぱりちょっと、ちょっとだけ、期待しちゃうじゃん。しょうがないじゃん。





でもきっとそれは、私の事を、妹のように思ってくれてるからだ。
あー・・・。切ないなぁ・・・。










(!さちが百面相してる・・・)


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