※スバル君の呼び方捏造です。仲良く無さそう。


名前と不穏な空気になる数時間前、俺はKnightsの面々とゲストで呼ばれていたバラエティの収録をしていた。それが終わって廊下を歩いている時、セっちゃんが走り出した。

「ゆ う くぅうん!」

「ゲ、泉さん!?」

特大ハグをかますとゆうくんはじたじたと暴れる。いやはや、相変わらず仲がいいようで。俺達も合流するともう1人Trickstarのええと、なんだっけ、そう、明星スバルがいてセっちゃんからゆうくんを取り戻そうと奮闘していた。

「ちょっと邪魔しないでくれる!?」

「ウッキー嫌がってるじゃん!」

完全に小学生のそれを半笑いで見つめる。このやり取りは何年経っても変わらないんだろう。すると誰かの携帯が鳴った。どうやら明星スバルの物のようでセっちゃんとの言い合いを手で制して中断した。

「えっ、サリーが?へえ、やるじゃ〜ん。」

ま〜くんの名前に眉を顰めた。何、ま〜くんのニュースが俺に1番に来ないってどうゆう事なの。ぐ、と堪えてじとりと見つめる俺と心配そうに見つめるゆうくん。とても対照的である。

「あはは、分かってるって。怒んないでよサリー!うん、じゃあね〜。」

電話口でわあわあ聞こえてたのはどうやらま〜くん本人のようで面白くない気持ちは膨れ上がる。

「衣更くん、どうかしたの…?」

ゆうくんが聞くとぱやりと馬鹿みたいな顔をしたそいつが爆弾を落とした。

「熱愛報道だって!」

「えっ、」

「へえ、やるじゃん。」

セっちゃんがゆうくんを可愛がりながら感心したように呟いた。待って、俺聞いてないんだけど。

「はあ?ま〜くんがそういう大事なこと俺に言わないとかありえないんですけど。大体相手誰。場合によっては消す。」

「ウワッ!物騒だな、この人!ええと相手は、勿論、知ってるでしょ?名前だよ。サリーが昨日、車に乗せたり、ご飯食べに行ったところすっぱ抜かれちゃったんだってさ。手なんか繋いでるから誤解されるんだよ〜。」

あまりの衝撃に言葉を失う。"ついに俺たちの中からもスクープでちゃったね〜" なんて呑気に笑う馬鹿と心配そうに俺を見るセっちゃん。ついでのゆうくんは慌てふためいている。

「……、」

俺は急いでタクシーを呼ぶと名前の家に直行した。その場を去る前に後ろで何か言ってたけどそんなの聞いてる余裕は無かった。車を飛ばしてる間ずっと苦しくてグルグルする。いつの間にそんな仲になっちゃったの。ま〜くん、名前の事好きだったの?なんで何にも教えてくれなかったの。置いてきぼりにされたというより名前を取られたという気持ちが強かった。やだやだ、お願い、名前を取らないで、ま〜くん。

玄関先に出てきた名前は相当イライラしてた。週刊誌の件も誤解だと言っていたし、どうやら2人きりではなかったらしい。名前は嘘が付けないから本当のことだろう。

「だって凛月くんだって想像できないでしょ?私と付き合うだなんて。私は出来ない。」

「またそんな勝手を言うんだ。」

この女は何にも分かってない。俺の気持ちもなんもかも分かってない。そうだよ、そんなこと言っちゃってさ、俺がもしアンタの事好きだったらどうするの?俺の気持ちはどうなっちゃうの?
やっぱり好きかどうか今はまだわかんないけど、ま〜くんに取られたくないってことは9割そういうことだろう。名前の事がすき。そう思ったらもう後は簡単な話だ。気づいてよ、という気持ちを込めて矢を放つ。

「俺が名前の事好きだって言ったらどうするの。」

ねえ。なんでそんな顔をするの、名前。