華やかさとは何か。キラキラしてたり目を引いたり明るかったり近づくのも恐れ多いって言うのが私のイメージ。プロデューサーが華やかでなくても良いかと思うけどあんずちゃんと私を比べてみて華があるのはどう考えてもあんずちゃんだし、皆が彼女にしたい!と思う女の子もあんずちゃんだろう。
別に夢ノ咲にそういった目的で転入した訳では無いけど女の子が2人だけなのだ。多少は気になる。そういう年頃なのだから許して欲しい。

髪の毛も真っ黒。コンタクトがめんどくさいからメガネ。スカートは膝丈。典型的なそれである私は最初は気にせずプロデューサー業に励んで居たのだが鳴上くんに

「女の子何だからお化粧ぐらいしないとねっ」

などと言われ、羽風先輩には

「う〜ん、可愛いは可愛いんだけどね!」

などと言われ、そういったのに疎いと思ってた月永先輩にまで

「お前は面白いなっ!」

などと言われてしまえば私だって気になるのは普通である。だって!あの月永先輩にまで…!
うーん、華やかとはどう言ったものか。女子高生に人気な雑誌を買い込みページをめくる。特集ページでKnightsのメンツを見つけると月永先輩に心の中で 見てろよ…! と呟いておいた。ついでに、と雑誌の内容を眺めるとやっぱり紙面上のみんなはかっこよく見えるなぁ、と頷いておく。紙面上のみんなはね。
雑誌を熟読して分かったことは、若干明るめの髪が流行っているみたいってこと。早速薬局に走って染め粉を買い求める。ブリーチもしないといけないようで髪を痛めるかなと眉を顰めるもイメチェンの為だと心を無にしてやった。
家に帰って帰宅していた姉に頼み込んで髪の毛を染めてもらうと姉は面白がって好きな子でも出来たのかとつついてくるので

「やめてよ、そんなんじゃないの。ただそういう気分だったの。」

と返すと面白くなさそうに ふぅん と返された。好きな人だなんて私にはまだ早いと思う。姉は上手に染めてくれて綺麗に仕上がった髪色に成程、と鏡を眺めているとついでに、と姉が化粧を教えてくれた。
鏡に映る私は年相応の女子高生だった。姉に急かされるままスカートを短くして髪も綺麗にまいてくれたもんだからいよいよ恥ずかしくなってしまう。怯えたように姉をみていたのであろう、姉は私を安心させるように

「大丈夫!だいぶ見れるよ!」

と言うのではあ、と返しておく。励ますにしては少し失礼ではないだろうか…!


次の日無駄に張り切った姉に髪の毛を綺麗にしてもらってなれないコンタクトと化粧を施した私は外に出た途端不安になる。変ではないだろうか。多少の緊張を抱えたまま電車に乗る。校門の前に立って後校舎を見上げるといつもの校門が地獄の入口に見えた。ごくりと喉を鳴らし鞄を抱えるようにするとアイドル科の校舎へと向かった。

「あれ誰だ…?」

後ろから声が聞こえてちらりと後ろを振り返れば衣更くんと朔間弟くんがいるではないか!ひい、と心の中で悲鳴を上げて歩くペースを速める。バタバタと追いかけて来る音に冷や汗全開で立ち止まるとゆっくり振り返る。

「君、普通科の生徒か?勝手に入れないはずだけど…」

「え、いや……ええと。」

名字 名前ですと言おうとするとじーっとこちらを見ていた朔間弟くんがくいくいと衣更くんの服を引っ張った。

「ま〜くん、この子名前だよ。」

はあ?と私をじっくり眺めた衣更君は私だとしっかり気がついたようで暫く口をあんぐりと開けたまま言葉を失っていた。そんなに変だろうか。
ああ、なんだか少し、こういう反応は傷つくなあ。