「いやあ、食欲の秋ですな!」
私はそう言いながら梨を食べていた。昨日は柿とぶどうを食べた。食が進む!
「あ、泉くんも食べる?」
私はKnightsというアイドルユニットのマネージャーをしている。休憩中のメンバーの1人に声をかけるとあっからさまに嫌な顔をされた。
「はあ?俺がカロリー気にしてるのしってるよねぇ、ダメマネージャー!」
「知ってるけど…!知ってるから果物じゃん…!」
ため息をつくと独特のイントネーションで あのねぇ、と言われる。
「果糖ってわかる?体を冷やすから食べすぎはくないわけ。脂肪が冷えたら痩せにくくなるんだからねぇ?アンタも気をつけなよ。」
そう言われると目の前の果物たちが途端に恐ろしいものに見えてそっと奥へ押しやる。
「ええ〜?イイじゃん。ちょっとふっくらしてる方が血も美味しくなるよ?」
後ろからぬっと現れた凛月くんは梨を一つ手に取ると私に押し付けてきた。口元にぐりぐり押し付けられるので私は驚いて暴れる。
「ああ。梨が落ちちゃうでしょ。勿体無いなぁ、ほらお食べ〜」
「自分で食べれる!」
もう!と梨を奪い取ると私はそれを咀嚼した。だいたい血が美味しくなるってなに!
「凛月くんもそういうわけわかんない発言テレビで絶対しないでね!」
「あんたは美味しいものを食べてるのに俺は美味しいものを食べれないってちょっと不公平だよね。」
「……何食べたいの?用意するけど。」
にっこりと凛月くんは綺麗な笑顔をつくると私を指さした。
「そこにあるじゃん。」
「え?」
泉くんが あ!と声をあげた時には私の首筋に凛月くんの歯が突き刺さっていて驚いた私は悲鳴をあげた。
「いたい!!!!なに!怖いよ!うわ、血が出てる、」
涙目になりながら首筋に手を当てる。凛月くんは相変わらずかわいい笑顔のままで私に告げた。
「ご馳走様。」
Knightsのマネージャー、辞めさせていただきます。