あれから朝の登校も、昼休みも、下校時も、りずとは会っていない。
颯太はというと、相変わらず魂の抜けた状態。

今日もこの前のような雨。
なんか胸騒ぎがする。






『ねぇ颯太、りずの様子見に行かない?なんか嫌な気がする』

「歩のそういうのって毎回当たるよな。…りずが危ない」


二人で聞き込みをして容易くりずと彼氏の居場所を突き止めた。






「〜きゃっ…」

「他の男どもにもクッキーばら撒いてたんだろ!?ビッチじゃねーか!」

「や…っ」

『この声、りず…っ』


バン!と扉を開けて、りずを襲っていた彼氏を羽交い締めにして気を失わせた。






「歩っ…」

ゴっ!

気を失っている彼氏に更なる仕打ちで颯太が消化器で頭をぶん殴っていた。
もしかして本気で殺そうと…


サーと血の気が引く感じがした。






『そ、颯太くん…?』

「りずちゃん…っ」

「颯太ぁ」

『(あぁそうですか無視ですか。まぁりず守れたからいっか。昔合気道習っといて良かった)』


りずの無事を確認して安心しきってるところに物音を聞きつけて誰かがやってくる音が聞こえたのでりずを隠し、なぜか颯太に腕を引かれ私までおとりになる羽目に。

颯太は自分のワイシャツをはだけさせ、襲われた様に見せているけど私にはそんなこと出来ないので颯太にネクタイで両腕を縛ってもらうことに。





「こわかったよぉ」

『…助けて…////』

「だだだ誰に襲われたんだっ」

「『あの人です』」

こんな恥ずかしい格好で恥ずかしい言葉を言わされ、照れが止まらない。
うん、キャラじゃないな。もう二度とやらさないでときつく颯太に言っておこう。

そのあと目を覚ました彼氏(元)は駆けつけた先生と生徒たちに散々な目に遭っていたけどざまぁみろ。





「颯太ごめんね。颯太のお守りはうんざりだなんて思ったことないよ」

「ほんと?俺のこと嫌いになってない?!」

「当たり前だよっ」

「やったー」

ようやく和解したみたいの二人を邪魔する気もないのでその場を一人離れようと…





「歩!もぉ〜〜また先に行っちゃうんだから!三人で一緒に帰ろ?」

『…うん、そうだね』

したけど、どうやら私のこの体も六年もあればこの二人がいる当たり前が染み付いちゃってるみたいです。



〜放課後〜

颯太はりずとアイス食べて帰るとか言ってた(もちろん私も誘われたけどなんかの委員会だとか言って断った)けど、彼氏(元)のヒステリック加減を見るとこのまま黙って引き下がらなそうだから様子を見ることに。






「くそっあの女俺に恥かかせやがって…っ!おい、しめてほしい女が…」

『(やっぱり)ビンゴ』

「お前…」

校舎裏でこそこそと誰かに電話ってマンガじゃないんだから。
でもそのおかげで探す手間が省けたけど。

男から携帯を奪うと掴みかかられそうになった。






ースッ…

(あ…)

背後からふわっと香るシャンプーの匂いと柔軟剤。いつも嗅ぎ慣れてる匂いだ。


(なんでこんなところに…)


私が持っていたはずの元彼の携帯を奪い、地面に落として思い切り踏み画面がバッキバキの状態になる。
顔を上げるとそこにはいつものこわ〜い顔の颯太くんが。





「これ、分かる?」

颯太のスマホ画面には元彼が颯太に消火器で殴られヘタってる姿の写真が。(半ケツ姿)





「これバラまかれててめぇの人生終わらせたくなかったら二度と俺のりずに近づくな。わかったか」

『おー怖』

「…な、なんなんだよお前たちはよ…っ」

「《一人じゃなんも出来ねぇかわいい颯太くん》だよ」

『自分で言ってて恥ずかしくないの?ねぇそれ』

「うるせーアイス食べに行くぞ」

男を置いてりずの待っている正門まで颯太と二人で歩いていく。





「やっぱり歩一人で行くと思った」

『え、だって颯太がりずとアイス食べに行くって言うから』

「歩は女の子なんだから男相手に一人で行かないの」

『なにそれ私が女であることを言わせなかった張本人が今更女扱いとか、震えるわ』

「はい、これで片付いたし歩も一緒にアイス〜」
「あっりずちゃぁ〜ん」コロッ

『…今日も疲れたなぁ』


この二重人格男と彼氏欲しい女に振り回されてばかりの毎日です。


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