がやがや…

人々が騒がしく行き交う街中の一角、一つのイヤホンを二人で聴く美少年たち。





「ねぇ君たち双子かな?もうどこかの事務所に入ってたりする?」

「サニーミュージック?聞いたことないし」


綺麗なお姉さんが名刺を渡そうとしたところに幼馴染の女の子




「りずちゃんっ」

彼女は朝倉りず
そして隣の美少年は私の従兄弟の七海颯太





「あ、あの七海颯太くん、これ…」

横で颯太が知らない女子からラブレターを貰おうとしたところ、りずが目で焼き尽くす。
それを横目にスタスタと先に教室に向かう。





「あのっ…歩くんっよかったら私と…」

「歩ー!もぅっなんで先行っちゃうのー」

これまた知らない女子に告白されそうになった所に置いてかれたりずがふてくされながら来た。
(そして告白しにきた女子に目で威嚇)



そう、私は周りに 男 と認識されている。
そして颯太とは双子と世間には知られてる。
従兄弟だけど苗字は一緒だし。説明がめんどくさいからそのままに流してる。

なぜ私が男として生活をしているのか…
それは遡ること小学5年の時。



父と母が長期のイギリス出張に決まった時、従兄弟である七海颯太も父と二人暮らしであるが父が海外出張で家政婦さんと二人暮らしであることと、家に空きの部屋があることから一人日本に残ることになった私。

颯太の家に引っ越しの日、初めて会ったのが朝倉りず。




「わぁ〜〜お目目も髪の毛も茶色い〜〜!」
「髪の毛サラサラ〜〜!」

当時からぐいぐいくるりずに若干の引きを取っていた私は恥ずかしくなり自己紹介しようとした口をつむってしまった。





「クールだなぁ〜〜、でもかっこいい〜〜!!」
『…?かっこいい?』
「あ、やっと喋った!かっこいいって言われない?」
『いや、初めて言われたけど…』
「そっかぁ、じゃあ私が一番のファンだ!今日から歩の隣は私のものね!」


そう、この時から私はりずに男と思われ続けた。
確かにまだ小学生だった私の髪は肩ほどまでしかなく、見様によっては男の子に見えたかもしれない。

どうしてすぐに男だと教えなかったのか、それはこの男のせい。





「りずちゃぁ〜〜ん」

七海颯太。
こいつの本性を唯一知っている私。

当時から腹黒かったこいつは訂正してくれるのかと思えば、


「じゃあ歩と僕、どっちがりずちゃんをお嫁さんにするか勝負だねっ」

なんて言うから(他にもたくさん。それを毎日。りずに暗示をかけるかのように)




『あのさ、りず。言いづらかったんだけど、私女だよ』
「……っもぉーーーー!歩急になに言うのかと思ったら!ちょっと女の子の歩も想像しちゃって可愛いなーって思っちゃったじゃん!颯太〜〜歩が変なこと言ってる〜」
『……(もうめんどくさい)』


となった。


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