今日の(今日も)りずは朝から変だ。
「ふむふむ、本日の《目玉焼きは醤油派女子》の運勢は…ふむふむ」
「もーりずちゃんまた歩きスマホしてる」
どうやらりずはスマホの占いアプリにハマってるみたいで。
「本日の《テスト勉強の時掃除から始めちゃう女子》の恋愛運は…《初めて出会った異性と恋に予感…!?運命の相手かも。!》だって…っ」
『颯太置いてかれるよー』
今日も朝からマイペースなりずに振り回される双子です。
そんな今日ですが、井辺先生というお爺ちゃん先生がぎっくり腰になったため新しい先生がやってくる、それが男だと朝から女子たちが浮足立っている。
「えーこちらの先生が井辺先生がお休みの間お前たちの担任と科学の授業を受け持ってくださる吾妻邦光先生だ」
ご紹介に預かられた吾妻先生とやらは生半可な気持ちでは到底視界に入れることは出来ず、みんな目を凝らすとぼんやりと見えてきた。
自己紹介もかみかみでほんと、大丈夫かこの先生…というのが第一印象だった。
この様子じゃありずも安心だな、とりずを見ると目をキラキラさせ手を拝んで吾妻先生を見つめてらっしゃる。
「マジか」
『まーすぐに飽きるでしょう』
「だな、しばらく様子見するか」
席が隣同士の私と颯太はそう頷いて未だキラキラしてるりずを見守った。
ーがやがや
吾妻先生の初の化学の授業 生徒たちは完全に舐めてやりたい放題、授業も聞く耳を持たずに喋りたい放題。
りずはと言うと、髪の毛をおさげに結い、メガネっ子姿になっている(いつの間に)。
「静かにしてよ!先生の授業が頭に入ってこないじゃないっ」
そのあとも勉学について熱弁していたけど後ろの席で笑いが止まらない私。
『ちょっ…りず…っメガネにおさげって…っもう、ほんと…ギブ…っくくっ』
「おい歩笑い事じゃねーよ、思ってた以上にりずがガチだぞ」
『そう言うことは可愛い颯太くんの出番でしょ?私は見る専門だから』
「おめー見て楽しんでんじゃねーか」
『…んふ(にっこり)』
授業後、早速颯太が仕掛けに行ってるのを影から見ていた。
りずと吾妻先生が話している間にわざとぶつかりに行き、わざわざ用意した興味もない化学の論文をダッシュで記憶して吾妻先生に懐き最後にさり気なくボディタッチをして帰ってこられた。
『…ねーそれで満足なの?』
「うるせー」
〜帰宅後〜
「歩、俺明日6時起き。起こして」
『え、なに急に、え、もー寝るの?おやすみー』
私の知らないところでなにかが始まってる気がします。
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