アイツは妙にピュアすぎて困る。
冗談すらまともに間に受けるから、すげえ困る。
まさに、"ピュアガール"と言ってもいい。

















「なぁ、名無し。」














「うん?何?」














「お前、もし俺に付き合ってくれって言われたらどうする?」
















「うーん?つきあ・・・





…?!」





























やっぱりな。
こう言う冗談を言うといつもと同じ感じで滅茶苦茶びっくりしたような顔を見せる名無し。
冗談ですら間に受けるというか何というか。
"もし〜"って聴いてるのにマジなのかと思ってこういう反応を見せるのが面白くて仕方がない。

もう何年俺と過ごしてんだかわからないが、そろそろこう言うの慣れてもいい頃なんじゃなかろうか。
かなりの回数を言っているにも関わらず名無しは一向にこう言う冗談になれる気配が一向にない。

自分でもあまりこう言う冗談を言うのは良くないと分かっているのだが、名無しの驚いた様な表情を見るのが楽しくてたまらないのもある。





















「お前本当こう言うの冗談でも弱いよな。
何回くらい引っかかってんだよ。

ってかそもそも俺がお前と付き合うかっての。」















「そ、それもそうだけど冗談でもこう言うのびっくりしちゃうんだってば…。」
















冗談で言った筈なのに何故かこちらまで変にドキドキしたというか何というか…。
理想のタイプとは全然違うし普段ならこう言うヤツは絶対に好きにもならないし好みでもない筈だ。

それなのに何故か名無しにあんな冗談を言っておいて変にドキドキしてしまった自分がいると思うと少し胸糞悪い上に気持ちが悪い。


こんな奴ずっと知り合いか顔見知り程度でいいと思っていた筈が…。


……。






いや、考えるのはやめよう。
余計に変になりそうだ。


























「どうしたの?晴矢。
顔、赤いよ?」

















「うっせーよバカ。
少し暑いだけだよ」
























冗談の罰当たりだろうか。
自分でも顔が赤いであろうことが分かるくらい顔が火照ってる。
その様子を見て仕返しと言わんばかりに少し悪戯っぽく微笑む名無し。
今の俺に大分反則的に痛い顔だ。

そして狼狽えてる俺に名無しは同じ質問をぶつけてきた。
…嫌なやつだなホント。

















「ねぇもし私と付き合って?って言われたら、


どうする?」



















「し、知らねーよ。
別にお前なんかと付き合いたくもねー」
















"付き合いたくなんかない"



嘘、と言えば嘘だ。


認めたくないけど心の何処かではOKしてしまいそうな自分がいるのがムカつく。
自分では気づかないけどコイツに、名無しに惚れているのだろうなと改めて思わされてしまった。


無駄に純粋でやたらと素直なコイツに。



負けた気がして嫌だけど名無しの本心が知りたくて必死になってるのが表に出たのか手汗がじんわりと滲む。
少し自分が気持ち悪いと思えた。

















「…って言うか仮にさっきのは嘘だ、って言ったらお前どうすんだよ」

















「私は別にいいよ?」


















「別にいいよ、ってお前な〜…。
意味わかって言ってるんだろうな?
これは"冗談"とか無しだぜ?」




















「それなら考えておこうかな」




















そうして俺は結局こいつに振り回されてる。
俺が言う冗談を間に受ける態度や仕草に振り回され続け、終いにはコイツから心に刺さりそうな冗談を言われ結局、また振り回されて終わるんだな。


それでも嫌にならない自分がいる。
結局惚れてる自分の負けなんだ、と。










やっぱり嫌いになれない純粋少女(ピュアガール)。













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