「――――じゃあかあさん、まきひろい、いってくるね。」 「ええ、気を付けてね、カスガ。」 「はい。」 …ガチャ。 ………。 ……。 …。 ダンダンダンダンッ!! 「(――――マジ人外乙じゃねーか…)……。」 ――――どうもこんにちは、5歳になりましたカスガ=アッカーマンです。 薪拾いと言う口実のもと(いやまぁ実際家に帰るまでに薪拾ってるんだけど)、もっぱらトレーニングをしている俺なんですが、先日とうとう…三角飛びっつーの?、を習得しました。(齢5歳にして!!) 三角飛び。簡単に言えば、壁や木に向かって飛んで、そこを軸にして蹴って飛び上がる飛び方?、の事なんだけど。それの応用で、自分の両横に軸になるもの(例えば、木とか家とか)があると、それを軸にして三角飛びし続けて上に上がる事も出来るようになる訳で。 で、前世は(半ば)引きこもりオタクのこのクソみてぇな俺が、ついにそれを出来るようになってしまったっていう…。今したのもその三角飛び連続みたいなやつでね…。つまり今木の上にいるんだけど、いやね、ホントもう病院が来いってレベルの人外だよね…。つーか高いな…足滑らせて死ぬとかしそうで怖いわぁ…。(ガクブル) そんな事考えつつも、足をぶるぶる震わせながら、俺は下を見下ろした。 地上からだいたい10mくらいの高さかなぁ…。…なんか、中学の時、友達と行ったプールの飛び込み台を彷彿とさせるわぁ…。…マジ高い怖い無理これ死ぬる。 ―――――こんなビビり具合で俺はホントに家族を守れるのかっていうのは甚だ疑問だが、そんな事言ってる暇なんかマジでない。 今はスゲー平和だけど、この世界ってホントそのうち死亡率跳ね上がるし。あの筋肉の模型みたいな巨人が壁壊すらしいし…。 「(―――――それに、俺が守るべき"家族"だって増えたしね…。)」 ―――――そう。俺がこの世界の知識を増やすだの生き延びる為のトレーニングだのを始めて早2年(いや知識は生まれた時から収集してたけど)。……俺、5歳にして妹ができました。(来たぜヒロイン!!) 名前はミカサ=アッカーマン。黒髪黒目の女の子で、赤さまの時点で美人になるよオーラプンプンです。ぱねぇ!! いやぁ俺ね、この世界の事(アニメ)詳しく知らないんだけどね、前世はブッチ切りでミカサじゃなくて金髪の子…クリスタル?、なんかそんな名前の子が好きだったんだけど、もうミカサ兄として生まれた俺はね、ミカサ一番だわ。俺、妹なめてた。ベロベロになめきってたわ。 マジぐうかわ。ミカサマジぐうかわ。 だからお兄ちゃん、妹を泣かすような事はしたくないしさせたくないわけなんだ!! 俺が家族を絶対守ってみせる!!(キリッ)とかキムタクも言わないようなクサイ事思うようになった訳なんだわ!! まぁいつかエレンとか言う主人公にパラッと(俺の)ミカサはかっさらわれちゃうんだろうけどさ、もうそれまでお兄ちゃんがミカサ溺愛しちゃうんだから!!、引かれない程度に!! そんな新たな決意を胸にした俺は、見下ろしていた我が家から目線を逸らして、今日はどこで薪を拾うか、木の上からボンヤリと眺めた。 「(とりあえず今日は、東側に行ってみようかなあ。)」 5分くらい経って、そんな事を考えたのち。俺はそろそろと木から降りて、シガンシナ区の東側、通称エッジに向かって歩き出した。 ――――――――― 赤さまって言うのは赤ちゃんの事です。 |