――――――そんなこんなでトラックにぶつけられて頭が真っ白になった俺だったのだが、目が覚めたら目が覚めたで頭が真っ白になる事態になるなんて、目が覚めるまでは予想だにしてなかった。 …いやだって。 ―――――――俺が目が覚めたら、俺の目の前には目が覚めるような素晴らしい美人のお姉さまがいらっしゃいましたもん。 「―――――ぅえ?」 「あら!!、目が覚めたのね、おはよう、カスガ。」 ――――――そう言ってニコリと笑う黒髪の美人さんに、俺は起床早々色々な心配と困惑をした。 え?、ナニコレどういう状況? え、もしかしてすげえオイシイ状況?、俺美人さんに襲われてるとかそういうすげえオイシイ状況?、DTフツメン(と思いたい!)オタク男の俺にそういう夢みたいな状況になってる?、え、ていうかまさかコレ夢?、夢なの?、違うの?、なんなのバカなの死ぬの? 「……あうあ、…っうあ!?」 そんな某金色さんから嫌われそうな類いのえっちぃ事をモンモンと考えつつも、とりあえず、その美人さんとは面識無かったし、美人さんも美人さんで俺をカスガさんって人と間違えていたようなので(そもそも俺の名前は苗字名前だ)、「俺はカスガさんじゃないっすよ?」、と答えようとした。した…んだけど。でも、口が全く上手く動かなかった。 「あ、あうぅ(ちょっと意味わかんNEEEEEE…)…!?」 え、ナニコレ。なんで喋れないの?、俺の舌どうなってんの?、フツーに喋ろうとしただけだよ?、ちょっとマジどゆこと。 とりあえず今の状況を俺なりに確認してみる。 1、起きたら目の前に黒髪美人さん。(いっそアジ○ンスさんと名付けたいレベルの黒髪美人さん。) 2、美人さんは俺をカスガさんって人と勘違いしている。 3、俺は喋れない。 …これ詰みゲーじゃね!?、え、これマジ俺オワコンじゃね!?、いや始まりもしてねぇけどオワってるわこれ!!、ちょちょちょ!!、マジどうすりゃいいのこれ!?、ヤバいってうわぁ、ちょ、うわぁ…!! とりあえずテンパりながらも俺は「あらあらカスガったら元気ねぇ」といって俺に笑いかけてくる美人さんに、ボディランゲージ()で俺はカスガさんじゃないですよと説明してみようと試みる。 俺の口は(何故か)上手く動かんから説明出来んが、体が動くんならまだなんとかなるかも知れんだろJK!! そう思いながらも体を動かそうとすれば… 「…!?、っうあ!?」 う、上手く動かねぇ…だと…!?(ざわ…ざわ…) え、えええマジでコレ俺どうすれば良いの?、どうすれば良かったの!?、て言うかなんで動かねェの!?、動けよ俺の体…!! 口だけじゃなくて身体まで動かない事態にしどろもどろしていると、美人さんから「ふふ、この子ったらホントに元気なんだから、」と言われながら頭を撫でられたのでなんかもう嬉しさやら羞恥心やらで爆発しそうだった。 美人なお姉さまに頭撫でられるとか…俺…今なら死ねる…。 |