―――――母さんから一族の証として刺青を入れてもらった、9歳の誕生日。 その刺青の施術後治療として俺んちに来てくれたイェーガー先生とエレン(おまけ)だったが、エレンはミカサに会うなりケンカを開始。 部屋の空気の悪化を阻止すべく、俺はケンカの仲裁を試みるも、話術の低さに定評のある俺なので二人を論破出来ず、なすすべなくしどろもどろに。 そんな折、母さんはうるさいガキんちょ二人を外に追い出すべく、俺をダシにして上手く外に追い出す事に成功したが、それはエレンとミカサの仲の悪さの根元的な解決には至らなかったのだった…。 …という感じで、いつもアニメの前フリやってる金髪の子…アルミン?、っぽく今までの流れを振り返ってみました。カスガ=アッカーマンです。 いや、すごい事になっちゃったね。汗 なんか俺、主要キャラクター二人に誕生日プレゼント貰えるみたいなんだって。(他人事) うん…そう考えたらホントすげーよね。 でも一個言っていい? …誕生日プレゼントうんぬんって話はすっげー嬉しいけど、でもぶっちゃけ俺としては、誕生日プレゼントよりも何よりも、エレンとマイエンジェルが仲良くなってくれればそれだけで良いんだけども。爆 うん。わざわざ誕生日プレゼントとか用意しなくていいから、頼むから仲良くしてくんないかな。(真顔) 俺なんかを兄貴って慕ってくれるのには激しく嬉しいしね、俺なんかにすきーって言ってくれるのは胴上げレベルで感激してるよ。 けどね、お前らがどんだけお兄ちゃんの事慕ってくれてても、お前らが仲悪いとお兄ちゃんもんのすごい悲しいです。それがどんくらい悲しいかって言うと、額の聖痕から血が滲み出すレベルには悲しいです。(爆) だからお願い…俺を取り合ってケンカするのはやめて……!!! 「(……とか自意識過剰に言えたら良いんだけどね!!!)」 言えるわけないよね!!、最近の少女マンガでも言わないよね!!、じゃあもう尚更言えないよね!!、とりあえず黙るわ!! ―――――そんなこんなで、一人でそんなアホらしい事をモンモンと考えていると、いつの間にやら時間は流れるように経っていき。 「―――――はいカスガ、もう良いよ。」 「…ありがとう、ございます。」 ―――――俺の術後治療も終わり、当初の目的を果たしたイェーガー先生は、ミカサと一緒に出ていったエレンの帰りを待つ事になっていた。 「…にしても、エレンとミカサはどこまで行ったのやら…。」 「…(…確かに)。」 「あんまり遠くには行くなって日頃から行ってるんですけどねぇ…。」 大丈夫かしら、なんて言いながらマイマザーは頬に手を当てて考えるようなポーズをする。 俺はそんなマイマザーのノンビリした仕草を横目で見ながら、え、ま、まさかうちのマイエンジェル、人拐いに遭ってんじゃね…!?、と嫌な想像をした。 「(―――――え、だってさ…東洋人は、高く売れるんだっけ…?)」 何処かで聞いた事のあるような、そんなセリフを思い出して、俺はガラにもなく背中と額に冷や汗をドバッと掻く。 イェーガー生とエレンが来てくれた時から、だいぶ時間が経って、もう西の空が赤く色付いて来たときになっている。 人拐いに遭ったから、こんなに遅くなってるだなんていう仮定も、間違いじゃないかも知れない。 「(っ俺のせいでミカサやエレンが…っ!?)」 ―――――そう考えると、いてもたってもいられなくなって。 いや、ただの妄想乙ってパターンかも知んないけど、ミカサは東洋人だし、この世界の安全レベルなんて紛争地域とそう変わらんくらいだから、そんなのあり得ない、って言えないワケで。 だから、マジで怖くなったから、ミカサ達を探しに俺も出ていこうとしたんだけど。 「「ただいま!!」」 「!?」 「随分遅かったじゃないか、二人とも。…派手にやったみたいだが、大丈夫か?」 「あ、とうさん!、ただいま!」 「おかえり。…ミカサも、おかえり。ケガはないかい?」 「た、だいま。…ケガは、ないです。…あ、お兄ちゃん、ただいま!」 「あっ、ズリィぞミカサ!」 「ズルくない。エレンが言わないから悪い。」 「なんだよそれ!…あ、ただいまカスガ兄ちゃん!」 ―――――がきんちょ二人の帰宅と同時に、騒がしくなった室内に、俺は内心ほっとしつつも、帰ってきたがきんちょ二人を見て、ビビる。 それは二人のベトベターもビックリなレベルで顔や服が泥まみれだったから、と言うのが理由のひとつだったが、それ以外にも、なんだか…あの犬猿の仲だったエレンとミカサが、少しだけ仲良くなったみたいだったからだった。 「?、お兄ちゃん?」 「?、どうかしたのか?、カスガ兄ちゃん。」 そんな事を考えていると、現れたがきんちょ二人に、同じような目で同じような事を言われたので、俺は慌てて二人に、返してなかった「おかえり」を返して、二人の頭をポムリとなでる。するとエレンがミカサの脇を肘でつついて、何かを促した。ミカサはそんなエレンに分かってると言いたげな視線を返す。 ホント仲良くなったなーなんてのほほんとした気分で二人の一連の行動を眺めていると、ズイ、とミカサから何かを差し出されたので、俺はミカサから差し出されたそれを見た。 「…はい、お兄ちゃん。」 「……?」 「たんじょうび、プレゼント。」 「………これ、」 ミカサから手渡された"それ"を見て、俺は目を見開く。俺の手の中で輝く"それ"は、金色で、黄色で、きらきらと光っていた。ミカサは俺がボケッと"それ"を見ているのを横で見ながら、"それ"について話し始める。 「エッジの山おくにいったとき、見つけたの。お兄ちゃんの目のいろとおんなじ、キレイないろのいし。」 「………これ……、…琥珀…?」 俺がそう呟くと、ミカサとエレンは首を傾げる。 そりゃそーか、石の種類なんてわかんねーよな、なんて思いながらミカサから差し出された石をまじまじと眺めていると、ミカサは少し緊張した様子で、不意にこんな話をし始めた。 「…お兄ちゃんとわたしで、まきひろいにいくと、いつもわたしはかみのいろとめのいろをからかわれる。」 「……?、(いきなりどうしたマイエンジェル)」 「そして、わたしがこんなかみのいろやめのいろ、やだっていったら、お兄ちゃんはいつも、オレのよりずっとキレイだっていってくれた。」 「…ああ、(うっわあクセエセリフだね!俺!)」 「わたしはそのたび、はげまされたけど、でもわたしちがうっておもってた。」 「……ちがう?」 なるほど、わからん。マイエンジェルの言いたい言葉の意味が分からなくて、首を傾けながらもマイエンジェルにそう聞き返せば、マイエンジェルは、少し恥ずかしそうな顔で、だけど天使と見まごうレベルにかわいい顔で、ちょっと照れながらも俺にこう言ってくれた。 「お兄ちゃんのめのいろは、わたしのなんかより、ずっとずっとキレイだよ。」 「お兄ちゃんは、じぶんにじしんがないこと、よくいうけど、そんなこと、ない。」 「お兄ちゃんは、やさしくて、つよくて、カッコいい。…わたしのじまんのお兄ちゃんだよ。」 ミカサは、そう言って少しだけ笑った。エレンをみれば、エレンも、少し目をそらして、「オレだって、おんなじこと思ってたのに、」とモゴモゴとこぼした。 俺はそんなエレンとミカサが、なんだかとても尊いもののように思えて、二人が見つけてくれたらしい琥珀らしき石を、ついギュッと両手で握りしめた。直径10cmほどの冷たい石に温度が少しだけ移って、ぬるくなったような気がした。 「………ありがとう、ミカサ。エレン。」 「ずっと、大事にする。…大事にする、から。」 「………もうこんなにおそく、かえって来るな。」 「心配、した。」 俺がそう言って、汚れに汚れた二人をまとめて抱き締めると、二人はわあ!と声を上げた。俺は二人のそんな声を聞きながら、ギュッと抱き締める力を強める。二人はそんな俺の行動に首をかしげながらも、ちょっと申し訳なさそうな声で謝ってきたので、更にギュッと抱き締めた。 ―――――ミカサの爪の間には、土が詰まっていて、エレンの手には小さな傷が沢山あった。 身体中ボロボロで、ボロボロになるまで探しに行ったコイツらは、自らの危険を顧みない程度のとんでもないバカで、そしてわざわざ俺ごときの為にそこまで頑張ってくれる程度の、とんでもなく可愛い俺の妹と弟だった。 ―――――ああ、もう、チクショウ。 ……俺、ヘタレだけど、巨人と戦うの怖いけど、巨人殺すのとか怖いけど。 「(…でも、もっと強くなんねーとダメだわ。)」 だって、色んなモンが大事になってきたもん。 俺は自分の右の手の中で金色に光る琥珀をしっかりと握りしめつつ、両腕で二人を抱き締めながら、そんな事をボンヤリと思った。 ―――――――――― 寧々子的に精一杯キレイに終わらせてみた。 |