生まれ変わったらミカサ兄だった件について。(見れない人用) | ナノ


―――――そもそもの始まりは、イェーガー先生が、エレンを連れてウチんちに来たのが全ての事の発端だった。

母さんはイェーガー先生に診察をして貰うため、またイェーガー先生は母さんを診察するため、邪魔な俺たちガキんちょ3人を、どっか別の所で遊んできなさい的な感じで誘導した。

そして俺はといえば、母さんとイェーガー先生のそんな雰囲気をさっさと感じていたので、エレンに自己紹介をして子ども部屋へ連れていき、俺の首に抱きついていてエレンと面識のないミカサと、同じく俺の首に抱きついていたせいでミカサの顔を見ていないエレンとを対面させて、とりあえず互いに自己紹介させて3人で仲良く遊ぼう!と目論んでいた。

………目論んでいたのだが。

アニメではエレンに半ばヤンデレで、絶対にエレンと仲良くなるだろうと思っていたミカサは、なぜかこっちがビックリするほどエレンに興味を示さず、エレンもエレンでそんなミカサに興味を示さなかった。


…つまり、互いにウマが合わなかったらしく。

そっから2人は口喧嘩に発展して、なんでか俺とミカサが兄妹であるとかそうじゃないとかいう話になって、それでエレンが物的証拠を出せとか言い出したからミカサが泣きかけて、俺はそれをどうにか宥めて。

とりあえずエレンの「ミカサとカスガお兄ちゃんは兄妹じゃないんだろ!」説を払拭することができ(まぁ所詮ごまかしだが)、ミカサ励ませたし大団円イェーイ!!って感じかと思ったら、今度はエレンが泣きそうになってしまい…。


「(…もうお兄ちゃん、どうすりゃいいの…?)」


――――さきのエレンとの口喧嘩のせいで、泣きそうになったり喜んだりで大変だったマイエンジェル(ミカサ)は、お疲れになったのか現在俺の腕の中でお休みになっていらっしゃる。

そして、そんなミカサ(と俺)のすぐ側で、ミカサをクソ恨めしそうに眺める涙目のショタ、エレン・イェーガーくん。

…俺、マジでどうすりゃいいの…?


―――――とりあえず俺の腕の中、なんていう不安定な場所でミカサを寝かせるのは怖いので、ミカサのベッドにミカサを運び、涙目でミカサを睨み付けるエレンになんでそんなに恨めしそうな顔をしているのか聞いてみる事にした。

「………エレン?」

「……なに、おにいちゃん。」

「っ、」

…っとぉ…。
…ショタ時代のエレンから"お兄ちゃん"って呼ばれると、なんか物凄い変な感じがするなぁ…。
背徳感っていうか…なんていうか…。しちゃいけない事をしてるような…。
…まぁ、さっきから呼ばれてるし、今無性に気になったのもなんかの拍子だっただけかも知んないから、気にしない事にするけどさ。

エレンにお兄ちゃん呼びされただけで、脳内をこんなに騒がしくしつつも、とりあえずエレンに呼び掛けるだけ呼び掛けて話さないのはどう考えても不審なので、話を戻して、なんでミカサをそんなに恨めしそうに眺めるのか聞いてみる。

「…なんでエレンは、ミカサを、そんなにイヤそうな目でみるんだ?」

ミカサがキライか?、とついでに尋ねてみると、エレンはしぶしぶと言った表情で、こう返してくれた。

「べつに…キライじゃない、けど…。」

「…けど?」

「…けど、コイツばっかり、ずるいだろ…。」

そう言うと、エレンは俯いてションボリしたオーラを出し始めた。

…え、なにこのションボリエレン。なんかすげえ可愛いんだけど。全力で励ましたくなるんだけど。頭なで回してやりたくなるんだけど。…ど、どうしよう俺。…ま、まかさショタだったのか!?、俺!!

そんなガクブルな事を考えつつも、エレンの言った「ミカサがズルい」の意味がわからないので、それを聞き込んでみる事にした。すると、エレンは俯かせた顔をあげて(な、なんだいきなり)、俺をガン見しながら、こう言った。

「…おれ、おにいちゃんが、ほしいの。」

涙目のエレンは、そう言ってなおも俺をガン見してくる。

柔らかい翡翠の瞳に薄い水膜が張り付いているのをみて、俺は、エレンがなんでミカサを羨ましがっていたのかわかった。


………ああ、そうか。


「…じゃあ、オレでよかったら、あまえていいよ。」

「オレはミカサのお兄ちゃんだけど、エレンのお兄ちゃんにもなる。」

「………ほんと?」

「うん。」


―――――エレンがミカサに嫉妬してたのは、自分にはない兄貴という立場の人間を持っていたからだ。

ミカサには兄貴がいて、エレンには兄貴がいなかったからだ。

―――――これは俺の妄想…ってか考え方なんだけど。…兄弟の存在っていうのは、ガキの頃は結構羨ましかったりする。両親とは違う、甘えられたり頼れたりする人がいるっていうのは、ガキにとっては結構大切なものだったりするのだ。

かく言う俺も、前世は一人っ子だったから兄弟が欲しかった時期もある。
大学に入ってロリの妹が欲しいとか一瞬頭に掠めたこともある。(…ごめんなさい引かないで。ごめん。)

ともかく、だからエレンはミカサが羨ましくて妬ましかったんだろう。だけど、それなら逆に、俺が…エレンの兄ちゃん的立場になれば、エレンもミカサと仲良くするようになると思った。

だから、俺がエレンの兄ちゃんになるって言ったんだけど…。



「……おにいちゃんが、ミカサのおにいちゃんでもあるってゆうのは、きに入らないけど、」

「(欲張りさんかよエレン君や。)」

「…でも、"おれの"おにいちゃんになってくれるんだよね?、カスガにいちゃん。」

「?…うん。」

「……すげえ…、…うれしい…。」


…ていうか、アレ?、なんかやたら"俺の"って所にアクセント置かなかった?、エレン。
なに、なんか意味があんの?、そんな事思いつつも、首を傾げながら考え事をしていたら、いつの間にかほっぺたを赤らめたエレンから抱き着かれていて、そして。


ちゅ、

「………………え?」

「………おにいちゃん、」


「―――――おれも、おにいちゃんのこと、だいすきだよ。」

そう言って笑ったエレンは、俺の首に腕を回して抱き着いてきて、そして更に更に、…お、おお俺の…く、くちびるにチューをしてきた。

……なん…だと…!?

「(……は、あああぁあああああ…!!?)」


お、おれ、ミカサより先にエレンとくちでチューしちゃったんだけど…!?
なんで!?、なんでチューしちゃったの俺!?、っちょ、っいや、ていうか意味わかんねーんだけど!?
どゆこと!?、なんでエレンチューしたの!?、ホモなの!?、ノリなの!?、酒でも飲んじゃってたの!?(子どもはお酒、ダメ絶対!)、そんな事思いつつも俺に抱き付いて離れなくなったエレンに、俺は、この状態でミカサが起きたら浮気現場見られた夫の図だよなと思って背中に滝汗した。なにそれ考えるだけでも怖い。






――――――――――

わかりやすい解説。

エレン「お兄ちゃん(カスガ)が欲しい。」(物理的に)

カスガ「(エレンは自分にお兄ちゃんが居なくて、それが悔しいから、お兄ちゃんっていう立場の人間、つまりエレンは自分にとっての兄的な存在を欲しがっている。)」

カスガ「じゃあオレ、エレンのお兄ちゃんになる。」(←もちろん立場的な意味で。)

エレン「俺のお兄ちゃん…?」(←この"俺の"は所有格の"俺の"。もっと言えばカスガお兄ちゃんは俺のものって意味。)

エレン「(俺のお兄ちゃん=俺のもの=俺の好きなようにしていい)」

ちゅっ

カスガ「…なん…だと…?」

ニホンゴッテムズカシイネー!/(^p^)\




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