ブチャラティは、腕いっぱいに林檎を抱えて悩んでいた。先日万引き犯を捕まえた礼にと、恰幅のいい果物屋の女主人がくれたものだ。
彼は林檎が得意ではない……というよりは、嫌いである。泣く子も黙るパッショーネの一員が林檎が苦手などと、そうそう言えることではない。女主人が善意でしていることを無碍に断ることもできず、彼は紙袋に山と入った林檎を抱えて歩いていたのだった。小さく溜息をつきながら彼らがチームの溜り場となっているトラットリアに足を踏み入れると、部下の面々が揃って早い昼食をかきこんでいた。

「あー、遅いぞブチャラティ。俺ら先にメシ食ってるぜ!」

口いっぱいにペスカトーレを詰め込みながら、ナランチャがブチャラティを席に誘う。
いつもの席に着き、パスタを注文していると、彼のちょうど正面に座っている金髪の女性…インビジブルがじっとこちらを見つめていた。穴が開くほど、という表現がしっくりくるほどにこちらを見つめている彼女の視線に妙な恥ずかしさを感じたが、こちらも負けじとインビジブルの蒼い瞳を見つめ返す。

「……ブチャラティ、その林檎はどうしたの?」

彼女の形の良い唇がそう言ってから気付いた。ああ何だ、俺ではなく林檎を見ていたのか。好かれている自信があるせいか、どうも自信過剰になっていけない。勘違いをしていた気恥ずかしさを隠すために、彼はインビジブルに林檎が山と入った紙袋を差し出す。

「通りにある果物屋でな。お前が貰ってくれ。」
「そんなの駄目よ。それはブチャラティのものだわ。」

自分のものだと言われても、食べられないのだから持っていても仕方がない。だがそれを彼女に言うことを、彼のプライドと意地が許しはしなかった。好いた女に、こんな子供でも言わないような好き嫌いが言えるだろうか?答えはNoだ。

「だ、だがこんなには食べきれないからな。そうだ、インビジブルが菓子にでもしてくれればいい。だろう?」

周りで昼食やドルチェを口に押し込んでいる面々に言うと、ナランチャが真っ先にフリッテッレがいい!と食いつく。フーゴはナランチャに煩いと苦言を呈しつつも、ちゃっかりとタルトをリクエストしていた。
ジョルノはすまし顔で「インビジブルの料理なら外れがありませんからね」となぜか自慢げに言う。

「分かったわ、お菓子なら得意だもの。」

やっと林檎を受け取るそぶりを見せたインビジブルに内心安堵しつつ、彼は林檎を差し出す。これだけ林檎があれば、明日の食卓にはたくさんのドルチェが並びそうだ。
できる限り林檎は口にしたくないが、彼女が作るドルチェともなれば話は別だ。イタリアの男に、甘いものと恋人が嫌いな者はいないのだから。







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衣織ちゃんがうちの固定夢主のイメージで、幹部夢書いてくれました//////
林檎嫌いラティとの甘やかなひと時(*>ω<*)
好かれてる自信アリアリラティが可愛すぎて鼻血が止まりませんっ(呼吸困難)
衣織ちゃん素敵なお話ありがとう〜♪♪(*'v`艸)


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