勉強を教えること、
可愛い後輩と、
ぶっきらぼうな父親、
あと 星空。

それが戦場ヶ原の持っている全て。全て大切な宝物。そうあいつは言った。人は自分の持っている宝物を全て他人にあげたりするだろうか。少なくとも俺はあげたことなんかない。なぜなら宝物ってのは大事に自分で隠し持っとく物だと思ってたからだ。
それをあいつは―戦場ヶ原は全て俺にくれた。恋人と言っても他人の俺に。あげられるのはこれくらいの物よ、と笑って。

それを全部、余すとこなく受け止めるのが多分俺の役目。螺旋階段の頂上から落ちてきた戦場ヶ原みたいに、しっかりと。落とさずに。それが今俺のしてやれる全て。
あの時と違ってそれは随分重いけど、俺は全てを受け止める。この先いつか戦場ヶ原の傷が癒えて彼女の身体を受け止めることになっても絶対に落とさない。

「戦場ヶ原」
「なに?阿良々木くん」
「好きだ」
「知ってるわ」
「お前がくれた全部が好きだ」
「当たり前よ」
「だから絶対に落とさない。放してやらない」
「…ええ」

頷いた戦場ヶ原の横顔はほんのちょっとだけ紅かったような気がするけど見間違いかもしれない。それでも良い。だってお前の全ては俺のものだから。


(恋を知る夜)
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何回見てもアニメ12話が好きです。


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