*消失後設定




「ユイっ!」
「先輩…?」

桃色の髪が揺れる。
何もない白い空間で日向はユイを抱き締めた。

「ここは?」
「なんでも生まれ変わる順番を待ってるみたいで」
「…じゃ、間に合ったんだな」

ユイは不思議そうに日向を見つめた。ユイがこの場所にやって来てから他の人間には会っていない。だから驚いたのだ。

「でも…なんで先輩が」
「ああ、多分俺の運が良かったからだよ」

野球場で結婚してやると言われて消えてからユイはずっと待っていた。生まれ変わりたい、けれど自分を愛していると言ってくれた日向を置いていきたくない。だからずっと待っていたのだ。 そして日向もまた、自分の運を信じてここまでやって来た。

「何のために大事な試合でセカンドフライ落としたと思ってんだよ」
「…なんすかそれ」
「ここでこうしてお前に会うためだろ」

大きな身体に包まれてユイはパチパチと瞬きをした。それからそっと日向の背中に手を伸ばした。

「アホですか、先輩」
「アホだよ悪いか」
「悪くないです」
「なら良いだろ?」

ユイの顔は埋まっていて見えない。日向はその頭をぽんぽんと撫でた。

「…ユイ」
「なんですか」
「一緒に、生まれ変わろうな」
「…でも生まれ変われますかね…生まれ変わって、会えますかね…」

語尾が消えそうな言葉に日向はユイの顔を起こした。

「俺が会いに行ってやんよ」

「何度だってセカンドフライ落として、そんでその運使ってお前を見つけてやんよ」

「そんでお前と結婚してやんよ」
「うっ…やっぱり先輩はアホです…っ」

大きな瞳に涙が溜まってほろりと落ちた。

「そんなことしたら…またここに来ちゃいますよ?」
「へーきだよ」
「…へ?」
「お前に会えたらセカンドフライ落としたことなんてどーでも良くなるさ」

だから、例えばお前がどんなハンデを背負ってようと、見つけ出して幸せにしてやんよ。

日向はユイの手を強く握った。もう決して放さないように。


(ちゃんとつかまえるから)

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日向はマジ男前過ぎる!

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