「あのねえ、きょーちゃん」
「おう」
「もし…もしよかったらなんだけどね」
「おう」
「日曜日ね、私と一緒にね」
「うん」
「こっ…」
「こ?」

「紅葉見に行かない?!」
「おう、良いぞ」

「ええええっ?ほっほんと!?」

ちょっと離れた公園の紅葉が今週末は見ごろだとテレビでやっていた。どうせ日曜日は何もないし、麻奈実の申し出を断るような事もない。何故か焦りまくってる麻奈実を他所に俺はあっさり頷いた。

「ああ、良いよ。どうせ何もないしな」
「そっそれじゃあ私、お弁当作ってくね!」
「本格的だな」
「うん!」

嬉しそうな麻奈実の笑顔に見とれていると、麻奈実に「お弁当何が良い?」と聞かれて「唐揚げ」と答えた。ああ…何だか楽しみだな。



そして日曜日。
待ち合わせ場所に行けば大きな弁当箱を持った麻奈実の姿があった。

「持ってやるよ」
「えっ…いいよー!重いから…」
「だったらなおさらだ」

ぐい、と弁当箱を受けとれば麻奈実は「じゃあよろしくお願いします」と言った。
日曜日の公園はそれなりに賑わっていて、犬の散歩に来ている人や、家族連れ、キャッチボールをやる兄弟なんかも居た。
俺たちはしばらく綺麗な紅葉を見て歩いてから、手近なベンチに腰掛けた。

「いやー今年の紅葉は見事だなあ」
「今年の猛暑に耐え抜いたごほうびなんだってー」
「ごほうび?人間にか?」
「え?葉っぱのごほうびかと思ってた…」
「…紅葉って葉っぱは嬉しいのか?」
「せっかく綺麗だから…」
「まあな…」

のんびりと二人で紅葉を見上げていると強い北風が吹いてきて麻奈実が少し身体を震わせた。

「寒いか?」
「えっ?だ…大丈夫だよ!」
「ちゃんとマフラー巻いとけ」
「うん、そうするー」

それから麻奈実特製の唐揚げ弁当を頂いた。流石は麻奈実、唐揚げも卵焼きもおにぎりも美味かった。

「きょーちゃんお茶は?」
「ん、くれ」
「美味しい?」
「ああ、美味いよ」
「ふふ…よかったあ」
「ありがとな」
「うん」

ひらひらと舞ってきた赤い楓が麻奈実の髪にくっついている。俺はそっとそれを取ってやった。こんな平穏な日曜日もたまには良い。


(紅葉日和)

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11/22(良い夫婦の日)記念。
癒しの良い夫婦…例え地味子ルートが無くとも…頑張れ地味…麻奈実ちゃん!




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