「スガタくん!」

モノクロの僕の人生を彩ってくれたのはいつもワコだった。ワコだけは僕に普通の男として接してくれて、話しかけてくれて笑ってくれた。普段の僕は饒舌なくせにワコには上手く言えなくて、ただ気持ちは内に秘めていた。言えなかったけどずっと感謝してたんだ。

誕生日が嫌いになった後も、ワコは毎年プレゼントをくれた。そっと祝ってくれていた。それだって感謝していた。ワコがくれたプレゼントは欠かさず全てとってある。どれも大切なんだ。


「…なんだい、ワコ?」
「ええっと…うん、いや…何でもないよ!何でもない!」

千切れちゃうんじゃないかってくらい首を振ってワコは無理矢理笑顔を作った。何でもないなんて顔、してないのに。こんな顔にしてるのも自分だって分かってはいるんだけど…。

辛い運命や悲しい誕生日を今までどうやって耐えてきたと思う?ワコが居たからだよ。だから僕は今まで生きてこられたのに。親が勝手に決めた婚約者だと言えばちょっとだけ寂しそうな顔をするのも、綺麗な歌声も全部僕だけのモノだったから、この離れ小島で暮らしてこれたのに。


僕はワコに何をしてあげた?


僕は誕生日のたびワコから逃げて、ワコを哀しませて、辛い思いをさせた。ワコから貰ってばっかりで僕からワコへは何もあげられない。
そんなの、嫌だ。


懐に忍ばせたナイフはいつ何時敵が巫女であるワコに襲い掛かってきても良いように、君を守れるように持っていたんだ。


「ワコ…!」

だからあの時思った。ワコが居なくなったら僕はどうなるんだろう。支えを失って倒れてしまうのだろうか。僕は多くは望まない。ワコだけが居てくれれば良い。それ故僕は多くを望みすぎた。




ワコが居なくては世界を創造できない。


「スガタ…ッ!!」






(唯一にして最大)

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スガタの愛が思い。
だが、そこが良い。

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