wj38ネタバレあり
ずっとギンの存在を消そうとしていた。
あいつは裏切り者だ、あいつは悪なのだと周りに言われて。だけど私が知っているのは、私を助けてくれた、一緒に住まわせてくれた、生まれた日をくれた、生きることを教えてくれた、あのギンなのだ。裏切り者でも悪者でもない、ギン。それを無理矢理変えることは出来なくて、私はギンの存在を消そうとしたのだ。居なかった事にする、そうすれば良いと。
でもそれは出来なかった。
キラキラと光る銀色はいつまでも消えない。ずっとずっと私の瞳に焼き付いている。
…ずっと私の中のギンは消えない。
どこかの建物の屋上で起き上がった時にやっと分かった。藍染の下についていたギンは嘘だったのだ。だから無意識のうちにギンを追いかけて来たのかもしれない。吉良なんか関係ない。藍染なんか関係ない。私と、ギン。
起き上がって、すぐにギンの元へ急いだ。消えなかった銀色が目に入る。
「ギン!!」
私が信じなくてどうするの
幼い頃のギンの言葉がとたんに甦る。
――…乱菊が
泣かんでも済むようにしたる――
泣いても泣いてもギンは目を開けなくて、かつてはっきりと聞いた「ご免な」ばかりが頭を回った。
泣かないで済むようにって言ったじゃない。あんたそれちゃんと分かってるの?
だってわたし、
ギンが居なくちゃずっと泣いたままよ
(消えない)
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ギンは全部どうでも良かったんですねえ、乱菊さん以外は。本当に一途で泣けました。