▽黒執事


「…ハンナ?」
「……っ!!」

クロードの声が空気を震わす。途端にハンナはびくりと肩を揺らした。左目の痛みは留まる事を知らない。ただズキンズキン、と脳にまで届いていた。
そんな彼女を見てクロードはハンナに近づいていった。彼の綺麗に磨いた革靴がコツコツと音を立てる。

「かしなさい。」

怯えるハンナの手に握られた包帯をそっと取ると、クロードは包帯を巻き始めた。しゅるしゅると手際よく彼女の左目に手当てが施された。ハンナは固まったままクロードの行動に驚いている。

「旦那様も惨い事を、」

ハンナの耳元でクロードはそう言った。
嘘だ、これはこの男が命じた事なのだろうとハンナは余計に猜疑心を抱く。この男は何を考えているのか分からない。恐ろしい。

「…なにもそんなに怯えずとも」
「貴方が…そうさせたのでしょう」
「………そうなのですか?」

一瞬、眼鏡の奥の黒い瞳が揺れた気がした。
クロードは包帯を巻き終え、端を留めるとハンナの顎辺りに手を添えた。


「ああ、美しい瞳がひとつになってしまった」

ぽつりとそれだけ言うとクロードはまたコツコツと去っていった。ハンナはしばらくその場から動けなかった。



(闇より深く)

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アニメ黒執事Uより、ハンナとクロード。
……あり得ませんね!しかも需要なんか0だと思います。完全に自分補完用です。


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