ネウロとよんアザの世界観がごっちゃになってます



「誰ですか、その人」

どうやら悪いタイミングに喚んでしまったのだと佐隈は悟った。ベルゼブブはダイニングテーブルに座り、その向かいにはティーカップを持った鳥のような悪魔が居たのだ。

「ああ、彼ですか。彼は私の古い友人です。彼も獄卒大のエリートでして」
「我輩は脳噛ネウロだ、人間」

ああまためんどくさそうな人だな、と佐隈はため息をつく。ネウロはぴょんと椅子から飛び下りると部屋をじろじろを眺めだした。

「ふむ、我輩を抑えることの出来る結界か。」
「ネウロくんは魔界でも3本指に入るほど強いのですよ」
「へえ…!そうなんですか」

佐隈がしゃがみこんでネウロを眺めていると芥辺が暗い部屋に入って来た。そして「知らない気配がする」と低い声で言った。

「ああ…ネウロくん、あれが芥辺氏です」
「ほう…」
「何だお前は」
「脳噛ネウロという」
「能力は」
「咀嚼だ」
「咀嚼…」

ネウロの能力"咀嚼"とは、人間の悪意を食べると言うものであり、悪意を喰われた人間はしばらく腑抜けたようになってしまう。それだけではなく、超上級悪魔のネウロは魔力で魔界の道具を自在に操る事ができた。

「気に入った。俺と契約しろネウロ」
「それは出来ない相談だ」
「なぜ?」
「我輩、既に"相棒"がいる」

ネウロはそう断言すると何故だか舌打ちをした。佐隈は不思議そうな顔をして口を開いた。

「でも、契約者は何人居ても良いんですよね?」

そう言うとネウロはにやりと笑う。と同時にカツカツと早い足音が聞こえてきた。

「我輩が契約するのはただひとりだ」

バン、と勢いよく扉が開け放たれた。芥辺がすごい形相でそちらを睨む。見れば紫色のグリモアを持った佐隈程の年の女が立っていた。

「ネウロ!」
「おお、来たか。待ちくたびれたぞ、ヤコ」

弥子が足を踏み出したかと思えば、ネウロいきなり弥子を蹴り飛ばした。グヘッと声がしたかと思えば弥子を下敷きにした、人型のネウロが姿を表した。

「バカな…結界を解いただと…!」

芥辺の反応をよそにネウロはいきいきとした顔つきで弥子をいじめている。

「流石…ネウロくん…!」

ベルゼブブは感嘆の声を漏らすと、その様子に見入っていた。ギザギザの歯を出してにやりと笑うネウロはどこかベルゼブブと同じような雰囲気がある。スカーフにベストにスーツ。しかも長身だ。

「ふむ、ヤコ。自己紹介はどうした」
「くびしめられててできるか…」
「やってみろ」
「無理!!」

どうやらネウロはサディスティックの気があるらしい。ネウロは心の底からいきいきしていた。そんな様子に佐隈は苦笑いを浮かべる。

「…も、申し遅れました…私、桂木弥子と言います」
「桂木弥子さんって言うの?へえ………ん?桂木……え、桂木ってあの女子高生探偵だった!?」
「ハッ!便所虫が」
「便所虫!?」
「あ、気にしないでください…ネウロはいつもこんななんで…」

背の高いネウロが嘲笑うかのように佐隈を見下ろす。うわぁ、なんかこの人カンジ悪。佐隈はそっと胸中で漏らす。
ネウロは弥子の頭をがしりと掴むと楽しそうに我輩たちはもう行くと言った。

「ではな、ベルゼブブ」
「ええ、また」
「行くぞ弥子」
「えっあ、うん!」

待ってよネウローと言って去って行く弥子を見送りながら佐隈は違和感を覚えていた。契約者と悪魔と言うには少し自然過ぎる二人の雰囲気に。頭を悩ませていると、口元をナフキンで拭ったベルゼブブが芥辺に言った。

「いや〜いくら芥辺氏でもあれ以上ネウロくんにつっこまなかったのは賢明でしたな」
「どういう意味です、ベルゼブブさん?」
「おや、ご存知ない?」
「…え?」

「言葉の通り、ネウロくんは彼女の"パートナー"なのです。あれ以上の介入は野暮ですよ」
「ええっ!?…あ、そういえば元女子高生探偵が助手の人と結婚したって…!」

佐隈の言葉に芥辺はフン、と悪態をつく。人間と悪魔の恋が実を結んだとしても、その先に幸せはない。彼らもきっとそれが分かっているのだろう。

「哀れな悪魔だな」
「…果たしてそうですかな」
「何が言いたい」
「私にはそうは思えない。彼はあれで幸せな生を送っている」
「……」

黙り込んでしまった芥辺をちらりと見て佐隈は口を結んだ。そして去って行った二人の後ろ姿をじんわりと思い出してあの違和感は二人が夫婦であったからだと気がついた。


(つよいつよい結合でもってわたしたちをひとつにする)

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一度やって見たかったネウロ×よんアザ。佐隈さんは芸能とかワイドショーとか結構好きそうなので弥子の事も知ってたっていう設定です。


title:ごめんねママ




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