「なあ」
「……」
「ごめんて」
「……」
「おーい野ばら姉さーん」
「……」

シークレットサービスとして、こいつの態度は気に食わない。守られる側のくせに安々と敵の前に飛び出して怪我をした。大したことないと言ったって、こっちにはシークレットサービスというプライドがあるのだ。小さな頬の傷を見る度にやるせない気分になる。

「聞いてる?」
「知らないわ、あんたなんか。シュレッダーにかけてやるんだから」
「ちょ、まっ、それは痛い」

不意打ちをされたとき、流石にやばいと思った。だけど先祖がえりの私たちは丈夫なんだからわざわざ庇ったりしなくたって良かったのだ。それなのにこいつは安々と私を庇った。それがどんなに私を傷付けたか知れない。だけどこいつは私を庇った直後へらへら笑って「大丈夫か」って言った。

「全然大丈夫じゃないわ」
「…野ばら?」
「あんたが怪我したら意味ないって言うの!」
「…ああ、それはさ」

気まずそうな顔をして、言う。大きな手が私の頭に乗ってゆっくり動いた。


「俺だって複雑なわけ。お前が傷付くのはさ。守りたくなっちゃうわけ」

男の子だからさ。またへらっと笑ってこいつは言う。悔しくて、不覚にも泣きそうになった。この男は狡いのだ。そうやって欲しかった言葉をくれてしまう。本当に嫌いだったなら四六時中こいつに付いて回ったりしない。そう言われてしまえば否定できない、そんな関係なのだ。私とこいつは。


(真を抉ってみせよ)

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連勝まじイケメン。ふざけてるようで真剣なお兄さんとかどストライクです。

title:すなお


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