食堂で立ち聞いた話にリナリーは顔を青くした。中央庁の職員たちが「室長が倒れた」と話していたのだ。リナリーは食事の乗ったトレイを素早く置き、その場を立ち去ろうとした。が、すぐにその腕を誰かに引き止められてしまった。

「待て、リナリー!」
「リーバー班長!?放して、」
「今室長は面会禁止だ」
「でも!兄さん倒れたって!」
「室長は今、エクソシストとの接触を禁じられてる。アレンのことがあって、疑いがかけられてるんだ」
「だけど!」
「大丈夫だ、室長には補佐官がついてる」

リナリーは泣きそうな顔でリーバーを振り返った。疲れた目はそれでも優しく蒼く光っている。リナリーは力を抜いてこくんと頷いた。その頭をリーバーがぽんぽんと優しく撫でる。

「私も兄離れすべきなのかしら」
「リナリーが離れたって室長がそうはさせないだろ」
「…うん」
「さ、飯食いに行こう」
「ありがと、リーバー班長」

リナリーはそう言うとリーバーと共に食堂に戻っていった。



「…うう?」
「室長。お目覚めになられましたか?」
「…ブリジット」
「突然倒れられるから流石に驚きましたよ」
「ごめ、ん」

圧迫感の激しい狭い部屋でコムイは頭痛を覚えた。簡易ベットの横に足を組んで座っていたブリジットが安堵の息をもらす。何から何まで見張られたその空間でコムイの唯一の救いはブリジットの存在だった。彼女は文句も弱音も決して吐かず傍に居てくれる。

「迷惑かけたね」
「いいえ」

コムイがベットから起き上がり頭をさすっているとブリジットがすっと椅子から立ち上がった。コムイが視線を移すより早く彼女は彼の首に腕を回した。コムイは目を丸くする。

「ブリジット…?」
「心配、しました。室長が死んでしまわれたのかと」
「…そっか」
「こんな風に思う私はもう中央庁の人間じゃありませんね」

コムイは眉を下げ嬉しそうに笑った。それだけでブリジットの胸はことんと音を立てる。この男にそんな気持ちを抱いても苦しい思いをするだけなのだと彼女も良く分かっていたが、そうそう止められるようなものでもない。ブリジットも諦めたように笑う。

「お薬、持って来ますわね」
「あっブリジット!」
「はい?」
「ありがとう」
「…はい」

離れて行くブリジットの後ろ姿を見つめてコムイは熱いため息を吐いた。


(安定剤)

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最近リナリーにはリーバー班長が一番合うんじゃないかと思います。もう良いじゃない、リバリナで。コムイさんとブリジットは大人可愛い恋が良いと思う。

title:ごめんねママ


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