「やあ、みや。」
「…八坂さま、」
「やっと会えましたね。貴女は花の季節にしか来ないから…」
「…はい。」

夏目と花を咲かせた夜。夢をみていた。
一面桃色の世界。愛しい貴方。


「みやに会える春を楽しみにしていたんです。」
「あと、どれくらいで会えるのかと毎晩数えて、」
「まだだ、もう少しだ、と。」
「けれどそのうちに待てなくなってしまったんです。」

会えない冬は長くて、寒かった。だから絵に逃げ込んだ。
春になったら出てこよう、と。


「…すみません、」
「何故みやが謝るんです?」
「私はっ!」
「みやは…」

「たくさんの美しい景色を見せてくれた。」
「私を見つけてくれた。」
「きれいな花を持って来てくれた。」



「そうして、」
「また私に会いに来てくれた。」


貴方は今笑っているのだろう。
きっと、花のように。
もっと近くで見てみたい。貴方を、その笑顔を。



「みや…!」
「、」


ざあ、と風がふいて私は下へ落ちていった。

貴方の腕へ。


(あいにゆく、)
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ラストがとても綺麗だったのが印象的です。八坂さまが好みでした(笑)

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