アニメ二期「春に溶ける」より。
玄と翠その後。
「ゲン、さま…」
「…ごめん、ごめんよ…スイ。」
今まで一体どれくらい離れていたんだろう。気の遠くなるくらいの年月が過ぎ、やっとまたこの手で君に触れられる。もう二度と君と笑えないと思っていたのに。
「スイ、ずっと待っててくれたのかい。」
(悪霊になっても、)
それでも待っててくれたのかい?
「はい、ゲンさま。」
「わたしは人間たちに谷底に落とされた時思ったのです。」
「本当に怖かったのは人間たちに壊されることではない、」
「ゲンさまのお側に居られなくなることだと。」
腕のなかでスイが困ったように笑った。
ああ、どうして君はこんなに…
「わたしもだよ、スイ。」
「ああ、君に会えない日々はあんなにも辛く悲しかったのに、今は…」
(それを一瞬で忘れるくらいに)
「幸せだ。」
するりと首に腕をまわすスイを思いっきり抱きしめた。
もう、はなれなくて良いのだから。
(春に溶ける)
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玄と翠、だいすきでした。漫画もアニメも何回見ても泣ける。