どうしよう、どうしたらいいのかな、ティエリア、と彼女は細い声を上げる。弱々しい悲鳴はいつも冷静な彼女には不似合いで、不謹慎にも少し綺麗だなんて思ってしまう。

フェルトの中でロックオンの存在は絶対的なもので、それが揺らぐなんて彼女自身思って居なかったんだろう。だからこそこんなに悩み、揺れているんだろう。
フェルトの涙がふわふわと浮かんでいる。それは時折僕の頬に当たって弾けた。会えない愛した人。ロックオン、あなたは今でも彼女の中で強く生きている。だからそろそろ、解放してやったらどうだろうか?

「フェルト、泣かないで」
「ティエリア…、だって分からないの、私。ニールのこと一生愛すって決めたのに、刹那が好きになっちゃうなんて、どうすれば…っ」
「フェルト」

僕の幸せを願ってくれる、優しい人間の友人を助けたい。フェルトの髪がふわりと揺れた。ああ、なぜ彼女はこんなに苦しまなくてはならないのだろう。ロックオンならすぐに救ってあげられるはずなのに、僕はこんなに無力だ。
フェルトの身体をすっぽり包むと、彼女はいやいやと首を振った。

「ミレイナに怒られちゃう」
「彼女はそんな人じゃない」
「でも、私…ティエリアに頼ってばかり」
「そんなことはない。僕だってあなたに頼ってばかりだ」

胸の辺りにフェルトの涙がじわりと染みる。温かい、涙。

「わたし…どうしたら良いのかな…」
「それはあなたが決める事だ」
「うん…」
「でも、その代わり、決めたら僕もちゃんと応援するから。僕もミレイナもあなたが大切だから」
「ありがと…」

多分彼女は刹那を選ぶだろう。もう進んでしまったから戻れないだろう。それに彼女は強いからちゃんと忘れて行ける。だから、大丈夫だ。いつかあなたを任せられるような人が現れるまで僕があなたを守るから。


(すべての悲しみから遠ざけてあげるの)

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title:ごめんねママ


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