*アニメでサタンとシュラが戦ってるあたり


人間とはなんと脆い。父上に愛された我の強い女もあんなに簡単に死んでしまった。そういうものなのだ、アレは。何回巡ったところで変わらない。

足下で繰り広げられる戦いを傍観者として観るのは壮観だった。どうせ皆父上に殺されるのだ。結末は決まっている。

「人間とは弱いものですね」

肩のアマイモンが言った。ああ、そうだなと軽く返事をする。アマイモンも眼下の戦いに目が離せないようだ。赤い髪がちらちらと視界に入っては消える。近くに寄ってははね除けられ、寄ってははね除けられ。少しだけ他の場所に目を移した。

「良いのですか兄上」
「何がだ」
「あの女を放っておいて」
「…なんだと?」

アマイモンは淡々と「死にますよ」と告げた。分かっている、そんなことは。ただの人間ごときが父上に敵うはずがないのだ。シュラが呻いて倒れ込んだ。無意識に手を握る。肩の上でまたアマイモンが口を開いた。

「兄上、震えてますよ?」
「…!」

どうせ無理なのだ。自分は悪魔であり、シュラは人間なのだから。父上とあの女のようになる。所詮そうなる。シュラは私を置いて死ぬ。いずれ居なくなる。

「…けれど、死ぬにはまだ若すぎますね」
「兄上」

パラソルを開いて地上に下り立った。シュラが、父上が目を丸くする。

少し遅めの反抗期ですよ、父上。


(せざるをえない)

-----------------------
アニメで妄想。本気で戦うメフィストが見たいです。


title:ごめんねママ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -