長い長い階段が空へと続いていた。とてもとても長かった。一番上を眺めようとすれば首の関節が悲鳴を上げそうだった。それでも頂上は見えなかった。そんな手を伸ばしても届かない高みから戦場ヶ原は降ってきた。それを確かに僕は受け止めた。何故だかずっと待っていたような気がした。

「阿良々木くん」
「…え?ああ、悪い戦場ヶ原」
「謝らなくても良いのよ、貴方の頭が悪いのは重々承知しているのだから」
「そっちじゃねーよ!!」

今僕の目の前に居る戦場ヶ原はあの時とは違う。身体も、気持ちも、とっても重い。
勉強道具を広げて戦場ヶ原の向かい座るのはもう珍しい事じゃ無くなった。解けそうに無い問題と戦場ヶ原とを交互に見つめていると、溜め息を吐かれた。

「阿良々木くんは本当にゴミね」
「ゴミって言うな!」
「そんなゴミなところも好きよ」
「ありがと…って言うとでも思ったのか!?」

毒舌も、素っ気ない態度も好きだ。それが戦場ヶ原の一部なら、余すところなく全て好きだ。
まさか自分がこんな気持ちを抱くとは予想もしていなかった。だけど今ではこれはずっと前から決まっていたんじゃないか。そう思うくらい僕は戦場ヶ原に溺れている。
あの時忍を助けたのも、僕が吸血鬼になったのも、全部全部戦場ヶ原に出会うための伏線だったんじゃないだろうか。今ならそう思えるんだ。

「なあ、戦場ヶ原」
「何かしら阿良々木くん」
「どうしてお前は僕の上に落ちてきたんだ?」

くるりと手の中で回したはずのシャープペンが手から滑ってノートに落ちた。


「待っていたのよ、受け止めてくれる人を」

ああ、やっぱりそうか。お前も待っていたんだな。僕と同じで、いつか自分を受け止めてくれる人を待ちわびていたんだな。




多分僕たちは螺旋階段の頂上から下を見据えて、待っていた。

その時がやって来るのを。


(落下5分前)

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素敵企画「君の笑顔が見たいから」さまに提出しました。なんだかものすごく分かりにくい話でごめんなさい!参加させていただいてありがとうございました!

0701.藍

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