*学園祭後


「お疲れ、夏目くん」
「…ん?ああ、タキか」
「お茶、飲む?」
「ありがとう」

男装をしてるから少し驚いた。髪を後ろで結んでスーツを着たタキは知らない奴から見れば男に見えるかもしれない。…自分で言うのもなんだけど俺より男らしい気がする。……何かちょっとヘコむぞ。
隣良い?と律儀に聞いてくるタキにもちろんだと答えればタキは嬉しそうに笑った。

「似合ってるなあ、タキは」
「ええ?そうかな…。夏目くんもピンクのエプロン似合ってるよ!」
「……それは…なんだか複雑だ」

タキに貰った冷たい麦茶に口をつけて暮れて行く空を眺めた。見慣れない格好のタキがその視界の端にちらちら入る。

「どうかした?」
「いや…なんでも、ないよ」
「ふふ、へーんな夏目くん」
「…タキ」

追求、しないんだな。俺がこうしてタキの横に居られるのはタキの人柄もあると思う。妖を通じて知り合ったとかじゃなくて、そうでなかったとしても多分今みたいになれたと思うんだ。

「あー楽しかった!」
「ん?」
「夏目くんは楽しくなかった?学園祭」
「え?ああ、もちろん…楽しかったよ」
「そう、良かった…」
「タキも、良かったな」
「うん!」

1年前はこんな笑顔見られなかったに違いない。だけど今はこんなに楽しそうだ。あの時出会って、本当に良かった。

「あ、ねえ夏目くん!」
「ん?なんだ」
「せっかくだから写真撮りましょ!」
「え…写真?」
「ねえ!二人で!」
「あ…ああ…」

タキに言われるがまま、俺はタキと並んで写真を撮った。多分相当恥ずかしい顔をしていただろう。幸いだったのは真っ赤な顔が夕日のおかげで隠せたことくらいだった。こうして俺は予期せずタキとのツーショット写真を手に入れることになったのだ。




「にゃつめーっ」
「なんだニャンコ先生」
「ぶどうむいてくれ!」
「…ったく仕方ないなあ」
「ん?なんだこれは」
「うん?」
「あの小娘との写真を額にいれてるのか」
「えっ?はっ!!み、見るなっ!」
「夏目もガキだな〜」
「ニャンコ先生!」

結局ニャンコ先生に散々からかわれたのは言うまでもない。だって仕方がないんだ、これは俺とタキの…幸せの証だったんだから。



(きみと、夏のおわり)

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男装タキがかっこよすぎて!いつもと違う分け目の夏目がかわいすぎて!「タキ、それ男装?」がとても良かったです

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