▽黒執事


ああ、あの瞬間私が身体の主導権を持っていて良かった。汚らわしい悪魔に傷つけられるなんて彼女には相応しくない。美しい声が私の中で何度も泣き叫んでいたけれど、聞こえないフリをしていた。辛い目に合うのは男の役目だ。女王を失った今、私達には行く場所すら無い。


「…アッシュ、アッシュ…」
「何ですか、アンジェラ」
「貴方ばかりが傷付くのは嫌よ…!!」

「貴女は"天使"でしょう、でも私は"灰"ですよ」
「…何を言って…っ」
「"灰"ですから…所詮私も汚れているわけです」
「貴方は…私なのでしょう?」

彼女の濡れた紫の瞳が光った。ああ、なんと…なんと美しい。

「泣かないでください、天使の涙は貴重なのですよ」
「貴方は私です!私は貴方でしょう!」

どうしてそんな事を言うんだ、そんな顔で。泣かせたい訳じゃない、昇り行く瞬間とて一緒なのだから不浄の私は貴女を護るのに。



「アンジェラ…不浄であっても一緒に、いてくれますか?」
「あなたは不浄ではないわ」


「貴方はアンジュ、よ。」





(灰と天使)

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