あの人は行ってしまった。とおく、私の手の届かない所へ。それはきっと私のせい。私が手を引っ込めたせい。そのせいで私、彼と自分自身を不幸にした。不幸になる人間は自分で自分を不幸にするんだわ、馬鹿みたい。堕ちてしまった後のシリウスは人が変わったみたいだった。こっちが本当のシリウスだったとしたら怖いけど、行ってしまう直前に「君には信じて欲しかった」と苦しそうに言った彼の顔は本当だったから、結局どっちが彼なのかは良く分からない。許して欲しいとは言わないけれど、私は本気で貴方が好きだったのよ。

「シリウス」

貴方が望むなら何度でも名前を呼ぶから、堕天使だろうと手を伸ばすから、だから私の元へ帰ってきて、シリウス。もう私はこれ以上不幸になりたくないの。

「麗花、私、は…」
「良いの、良いのよシリウス。何も言わなくて」

果てしなく高い空に堕ちた彼の帰りを私、ずっと待ってる。地上に降りてきたらきっと抱きとめるから、だから。


(落ちてきて)

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麗花さんが好きで好きでたまらない。


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