▽うみねこのなく頃に
*うみねこアニメの話。
*最終回だけちらっとみたあとの妄想なのでいろいろ変です。
「私は、だあれ?」
絞り出すような声と紅い雫に混じって涙が零れた。ふわりと矛の先から落ちるベアトリーチェを戦人は一心に受け止めた。憎んでいたはずなのに、恨んでいたはずなのに。抱き留めたその魔女があまりにも軽くて涙が溢れていた。彼女は生きていない。生きているのは自分だけだった。戦人は必ずその謎を解いてベアトリーチェを殺すと宣言した。例えいつまでかかっても自分があの魔女を殺すのだ。それはベアトリーチェとの約束だった。
(だから、)
「…俺が殺すまでは死ぬな、ベアト…」
「ああ、きっと…死なぬ。」
その言葉は裏を返して初めて戦人の心が読み取れるモノだった。それをあえて口にすることは無かった戦人だが、きっとそれはベアトリーチェに伝わっているに違いなかった。何故ならひたすらにその瞳からは涙が落ちていたからだ。
「ば、と…ら……」
「なんだよ、ベアト…」
もはや声とも呼べないような掠れた息を戦人は聞き取った。弱ったベアトリーチェを見るのは嫌だった。敵であっても、決して相交える事はない相手であっても。
「 」
「聞こえねぇよ、ベアト、」
「分かんねえって…!」
「ベアトリーチェ!!」
名前を呼べばぴくりと反応はするものの、まるで人形のような魔女を戦人は慈しむように見つめた。
「…ああ、駄目だ…っ!全っ然駄目だ…!」
さぁ、もう一度ゲームを始めよう。他でもない、お前を解き放つ為のゲームを。
(生きろ、俺が殺すまで、生きていてくれ。)
(俺が掻っ消してやるっての)
(不安も、肩書きも、お前を苦しめる全てのものを)
(ゼンブ、)
-----------------------
とてもツボなカプでした!