雪の中に埋もれ重い瞼が落ちかけた時、とても強い光を見た。涙でにじむ青い空を飛ぶ光と言う名の獣。そしてその口元に見える緑色の影が瞳に映った。
(エ…リン……!)

彼女は生きている。今もちゃんと清く美しく。大きな檻は壊され鳥は飛んでいた。力強く空を羽ばたいていた。

「…そうか。」
生きて幸せになれと言うことはこういうことだったのだ。小さな籠の中で生き永らえろという意味ではなくこのどこまでも青い自由な空で生きろということだったのか。思わず死ぬ間際のターヤの顔を思い浮かべて苦笑した。分かっていなかった。僕は、何も。
不思議と足に力が入って簡単に立ち上がる事ができた。雪の上に立って見上げる光はそれはそれは美しくて、もう少しで僕にも届きそうだった。
彼女は生きている。そして
(僕だって生きているんだ。)

これからはしっかりと立って歩いて行ける気がした。僕の真ん中には彼女がいたから。


行き場の無い爪先を撫でて
(僕は)
(歩き出した)



title by:リッタ

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