冷たい雪の中で暖かい夢を見た。ターヤとふたり、暖かい光の中で微笑む夢。ターヤが笑っている。良かった、もう苦しくないんだね?そう言おうと口を開くとターヤが僕の口に手を当てた。しゃべるなという事なのか、
「おにいさま、おにいさまにはまだやらなくてはいけないことがあります」
「ターヤ?」
「私にはあのエリンという方を守ることはできません。」
「だからおにいさまが守って差し上げなくては…」
ふいに現実に引き戻されて、暖かい朝日を見た。
「僕にも…光が見えるよ、」
「綺麗だよ…ターヤ……!」
光が見えるのは生きろと言う事なのか。いつの間にか足に力が入っていて立ち上がれた。立ってみれば、ああなんて美しい光なんだと思える。
「あれはターヤでありエリンだ…」
僕の使命はまだ終わっていない。僕はまだ死ぬわけにはいかなかった。
(ここまで生きたのだ、あの子達の子供を見るまで諦めてやらないぞ)
光の中のターヤが微笑んだ気がした。
勇気だけでいい、くれないだろうか
(そうすれば)
(生きて行けるから)
おわり。
title by リッタ