生徒はもうとっくに下校して、風紀委員にも帰らせて。ここに残っているのは僕だけ。静寂に包まれた屋上からは、星空がよく見える。

(……まったく)

思わず溜め息が零れる。連絡があるわけでもないのに、何の根拠もないのに。屋上であの人を待つという、無駄かもしれない行為を行っている自分に。
いつからそうなってしまったのか分からない。自分の生まれた日なんて、少し前までは何の興味も無かったし。祝福とか、そういったものも欲しいなんて思わなかった。

『恭弥、次の誕生日…何が欲しい?』

3ヶ月ほど前、記憶の中の彼はこう言った。何故か、自分のことのように嬉しそうに。僕には分からなかった。けれどそんなあの人を見て悪いとは感じなかった。ただそれだけ。

(……はやく、しなよ)

焦燥のような、期待のような、不安のような、めんどくさい気持ち。
あの人に会ってから、めんどくさいことばかりだ。

それでも彼を追い掛ける僕は、

(まぁ、つまり……そういうことなんだろうね)

少し冷たい夜風が吹いたのと、聞き慣れた屋上のドアを開ける音が聞こえたのは、ほぼ同時だった。












遅刻ごめん…!雲雀さんおめでとう!
20140506




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