お前以外どうでもいいってこと2 後編 | ナノ

お前以外どうでもいいってこと2
青黒♀/宅配ドライバー×本屋店員/R18





「…僕も…、……あおみねくん、と、…エッチ、したい……」


まさかあのテツの口から、こんなエロゲみたいな台詞が聞けるなんて思わないだろう。
このチャンスを逃すバカがどこにいるんだと思い、青峰は止めていた車のエンジンをかけ直した。

「…青峰くん?どこ…行くんですか」
「んー…着けばわかる」

今いるテツナの家の前から俺の家までは結構かかる。まさか実家暮らしのテツナの家でなんてのはアレだし、青峰は最終手段をとった。

程なくして目的地に着いたものの、テツナはいまだにここがどこか分かっていない。
駐車場に車を停めてから降りると、青峰はキョロキョロとしているテツナの手を引いて無駄にきらびやかな入り口に向かう。
そして、入り口にあった看板の文字を見た途端テツナは硬直した。
ようやくわかったか、と青峰は呟く。

「あ、あおみねく…ここ、まさか」
「ラブホだけど」
「!!」

青峰はさっさと入り口に入ってすぐにあるパネルを操作して先に金を払い、固まったままのテツナの肩を抱いてエレベーターに乗り込んだ。

(…やべえ)


本当に、これは、抑えが利かないかもしれない。
青峰はごくりと唾を飲み込んだ。













「っん、んぅ、んん…っ」

部屋に入って靴を脱いだ途端、青峰がテツナの唇にむしゃぶりつくようにキスをした。
いつもなら触れるだけのキスで、それでさえ恥じらうテツナにムラムラしていた青峰だが今はもうそんなんじゃ満足出来なかった。
目の前にいる彼女は、決して青峰好みのむちむち巨乳ではない…むしろ真逆で、背は小さく華奢で全体的に細っこく、基本無表情な上に嘘はつけない性格ですっぱりと物を言う。男性が好むような女子っぽさはほぼないに等しい。
それでも青峰はテツナが可愛くて可愛くて、恋愛に関して何も知らない彼女を早く自分のものにしたいという思いでいっぱいだった。

「…はっ、テツ、テツ…」
「ふっ、ぁ、あ、んん…っ」

時折唇を離し息をさせてやるものの、テツナのその様子が可愛すぎて結局またすぐに唇を塞ぐ。
だんだんと意識がぼうっとしていったテツナは、密かに自分の口の周りが唾液で濡れていることが恥ずかしくて仕方なかったがそんな文句を言う余裕もなく。

「っ!…ぁ、」

そんなこと考えているうちに、テツナの服の下から青峰の手が侵入してきていた。大きくてゴツゴツした手がテツナの腰や胸を厭らしく触る。

「あ…、や、あおみね、くん…っ!」

途端に怖さを感じ、テツナはいやいやと首を振ると青峰の動きがぴたりと止まる。

「…嫌か」
「……っや、じゃない…けど、…」

嫌な訳が無い。テツナだって青峰が好きだ。そうでなければ、あんな恥ずかしい台詞を言うことはない。
でも、いざこうなると恥ずかしさや不安がどっと押し寄せて来たのだ。

「…つーか、悪いな、こんなとこで盛って。部屋入るか」

青峰はくしゃくしゃとテツナの頭を撫でると部屋の電気をつけ、ベッドにぼすんと座った。
テツナはおずおずと青峰の後に続くが、どうしていいか分からず入り口付近に突っ立ていた。

「テツ」
「は、はい…?」
「何してんだよ。こっち来い」
「………」

テツナはとりあえずベッドの方に近付くと、腕をぐいっと青峰に引っ張られ青峰の前に背中を向けて座る形になる。更に後ろからぎゅうっと抱きしめられ、すっぽりと青峰の腕におさまってしまった。

「はー…落ち着く…」
「…っ…、ちょっと、匂い嗅がないで下さい…」
「超テツの匂いする…たまんねー」

ぐりぐりと自分の小さな肩に顔を押し付ける青峰を、テツナは少し可愛く思いクスリと笑った。

「…まさか、職場で見かける本屋店員とこんなことになるとは思わなかったな」
「僕だって思いませんでしたよ。最初見た時何この黒くて目付き悪い人って思いました」
「おい」
「何かすごい女性からモテてるみたいですし、僕みたいなのにちょっかい出して来る意味が分からなかったです」
「…俺だって、訳わかんねーよ……」
「…へ?」

青峰の深刻そうな物言いと同時に、テツナを抱きしめる力が更に強くなった。

「…今まで付き合ってた奴は、彼女なんて言えるんだかわからねえくらい、何も思わなかった。おっぱいでけえなくらいしか」
「なかなか最低ですね…」
「俺はこの先もずっとこんな感じなんだろうなと思ったし、別にそれでいいやって思った。…なのに、何かいきなりテツが出てきて、仕事の度にテツいねえかなーって無意識に探すようになって、いたらすげえテンション上がるし、セクハラくそ野郎の件だってすっげームカついたし何かもうテツが好きすぎて意味わかんねえ、毎日テツのこと考えてるし、正直一緒にいれればそれだけでも幸せだなとか思ったし、なのにテツにエッチしたいとか言われたらもうダメだろアウトだろどうすりゃいいんだよ」
「…何か混乱させているみたいですみませんとしか」
「本当にしていいなら、めっちゃ優しくする…けど、ぶっちゃけ今日はテツが気持ちよくなれればそれでいい。俺のことは後回しで」
「え?」
「そうだな何か俺が気持ちよくなりたいというよりは…テツが気持ち良さそうにしてるのが見たい」
「…っ……」

言ってることは、彼女想いの優しい彼氏だ。いや実際、一応そうなのだが。
しかし、そんなことを言う青峰の目は、まるで獣のようにギラついていた。







よく考えたら人前で裸になるなんて恥ずかしすぎる。
いくら大好きな青峰でも…いや、青峰だから余計に恥ずかしい。
そんな考えばかりがテツナの頭を埋めるが、もう自分はあっさり服を脱がされて、ほぼ全裸でベッドに仰向けに寝かされていた。
青峰の五本の指先だけを、テツナの肌に触れるか触れないかの絶妙なタッチ圧でかなりゆったりとした触り方をする。所謂スローセックスの基本フォームだった。
通常のセックスにおける強く刺激のある動きとは真逆のこの行為は、物理的刺激を性的快感に変換していく女性の脳の機能に理想的な愛撫である…と言われている。まるで全身が性感帯のようになるのだ。
更にさっきから執拗に胸やら首やら足やら太ももやらを舐められ、しかし決定的な快感はいつまでも得られない状況にテツナはもうどろっどろにこの長い前戯に溺れていた。

「っあ、ぁ、あ、ん、」
「はは、テツずっと喘ぎっぱなし…えっろ……」
「あ、ぁお、みねく…っふあ、ぁ、」
「腰動いてるし、……ここ触ってほしい、ってか」
「ひ…っやぁあ…っ!」

白いレースが付いたパンツの上からぐりっと触られると、びりびりとテツナの身体に快感が走った。

「手、入れるぞ」
「っん…!」

パンツを履いたまま、テツナの秘部へと青峰が触れる。

「…びっしょびしょじゃん」
「…っ!ごめ、なさ…」
「何で謝るんだよ。気持ちいいってことだろ?違ぇの?」
「…違く、ない……」
「だろ?…あーテツ可愛い」
「ぁ、あ…っ!」

びっしょり濡れているのをいいことに、青峰は試しに指を一本挿入してみると予想外にすんなり挿入ってしまった。
しかし処女であることは確かで、これ以上弄ると少し辛そうではあった。

「テツ、痛くねえ?」
「んん…っ、すこし…、」
「だよな…じゃーこっちか」

青峰はずるり、と指を引き抜くとその上にある肉芽に触れる。途端にテツナがビクッと身体を震わせた。

「やっ…!?や…、なに…っ」
「ここは気持ちいいか、やっぱり」
「っあ、ぁ、いや、やぁ…っ、」
「ここ。テツのクリトリス」
「やだ、や、やめて、あおみねくん、あ、ぁ、」

さっきまでの反応とはうって変わってふるふると首を振るテツナに、青峰は口角を上げた。
決定的な快感が得られる場所を触れられたことで、テツナは何も考えられなくなるほど喘いだ。

「あ、ぁ、あ、や、だめ、やだ、」
「んー?何がダメなんだよ?」
「だめ、なんかくる、や、こわい、やだぁ…っ」
「痛くねえんだよな?テツ、それだけは言え」
「痛く、ない、けど……っ、なんかでちゃう、の…っ」

なんかでちゃう、というエロい言い方に青峰はぞくりとした。可愛すぎる、めちゃくちゃにしたい、そんな気持ちを抑えて青峰は空いている片手でテツナの弱々しい手にぎゅっと指を絡めた。

「テツ、出していいから、な?」
「いやっ、ゃ、だめ、やあ…っ」
「…見せろよ、ちゃーんと俺が見ててやるから…」

すっかり惚けた表情のテツナの顔を舐めて、耳元で息を吹きかけるようにそう言ったが最後、テツナは目の前がチカチカし始め、青峰の手をぎゅっと握り返した。

「や…っ、あ、ぁ、あ、でちゃ、でちゃ、う、…!ぁ、あ…っ」

テツナはビクビクと身体を震わせ、大きな快楽に達した。そんなテツナを見て堪らなくなった青峰はテツナの小さな唇を自身ので塞いだ。

「んーっ、ん、ん、ふぁっあ、ゃ、やら、さわっちゃ、あ、」
「テツ…、テツ可愛い、」

達したばかりでかなり敏感になっているそこを青峰は容赦なく弄り続けたせいで、テツナはすぐにもう一度達してしまった。

「…あ、ぁ、あ…、」

はふはふと息を整えるテツナの頭を撫で、そのままぎゅっと抱きしめた。

「…今日はこれで終わり」
「…え、」
「もっとテツが慣れてきたら最後までヤる」
「でも…」
「俺がそうしたいんだよ。テツに無理はさせたくねえし」
「…無理なんて、してません」

…とはいえ、さっき少し青峰の指が入ってきただけで痛さや圧迫感があった。実際青峰のものを挿入するとなったら…と考えると、自分にはもう少し覚悟が必要な気がしたため、青峰の思いやりは正直有り難かった。

「…でももうアレだな。これで心置きなくテツを俺んちに連れ込めるわけだ」
「青峰くんちですか…行ってみたいです」
「来いよ。テツ抱き枕にして寝るのが俺の今の夢なんだよな」
「何ですかそれ…僕潰れちゃいます」
「俺がテツ潰すわけねーだろ」

クスクスと笑いながらイチャイチャし始めた二人は、お互い幸せな気持ちでいっぱいだった。
きっとこの先何があっても自分達なら大丈夫。
そんな根拠の無い自信が、青峰とテツナにはあった。















「はああああああああああテツに触りてええええええええああああああああああああ」
「うるせえええええちょっとは黙れ青峰!!!!」
「んだよ火神ィ、俺とテツがますますラブラブになったからって嫉妬か?ん?俺が仕事中もテツテツ言ってて寂しいかそうか」
「何で俺がお前に嫉妬すんだよ気持ち悪ィわ!!!!!つーか仕事中は仕事しろ!!」

暇さえあればテツ可愛いしか呟かなくなった青峰に火神がブチ切れるのはすっかり日常茶飯事になってしまった。
今もここがいつもの納品用エレベーターで、他の宅配ドライバーもいるということも忘れて叫ぶのだから火神としては堪ったもんじゃなかった。

「最近俺テツの本屋の担当回ってこねーんだよな〜…」
「あーアレだろ、確か最近入って来た新人の荻原っていう奴が本屋担当だったような…」
「荻原ァ?誰だそれ」
「だから新人のー…っても顔とか知らねえけど」
「俺と担当変われって脅すか」
「駄目だろ…そんなん上が許さないぞ」
「冗談だよ。ま、いーわ別に。今日もテツ家に泊まりに来るし」




結局テツナとまだ最後までセックスはできていないが、それはこれからゆっくり進めていくのも青峰の楽しみの一つとなった。





ちなみに『新人の荻原くん』の登場で一波乱起こるのは、…また別のお話。

















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