企画 | ナノ


三好は池袋に来たときから飽きもせず放課後はあちこち歩き回っていて、門田ともサイモンとも面識があるようで意外な顔の広さに驚いた。

今日も池袋散策なのか、少し遅い昼飯用にマックの袋を下げて適当に座れる場所を探しているとキョロキョロと何かを探している三好を発見した。

「三好」
背後まで迫っても探し物に気を取られているのか気付かず、声をかけたら酷く驚いて距離を取られた。
相手が俺だと分かるとホッと息をついて、お辞儀をして謝られた。こういうところが律儀で真っ直ぐでいい奴なんだよな。

「なんか探し物か?」
「平和島さんを探していました。よくここで会うのでもしかしたらって」
なんだこの可愛い後輩は。照れもなく言うか普通。

「あー…まあ、ありがとな」
「?」
そういえば俺は座れるとこ探してたんだっけか。丁度すぐ見えるところにベンチを見つけた。
でも三好がいるしせっかく探してくれたのにじゃあこれから昼飯だからで別れるのも三好に悪いよな。

「なあ」
「はい?」
「マックとか、好きか?」




シェイクをやるには少し名残惜しいので代わりにチキンナゲットをあげると、嬉しそうにお礼を言ってそれを受け取った。

残りはメガマックとシェイクとポテトMサイズなので量に関しては問題ない。
まずシェイクを取り出した。
特に会話もせずシェイクを飲む。
黙っているのでも隣に人がいるのといないのでは違うもんだな。

「…………」
視線を感じて三好の方に顔を向けると、三好は誤魔化すようにとりあえず謝ってきた。顔を少し赤くして無理やり道路に顔を向けている。

「なんかついてたか?」
「いや、その…。シェイクの飲み方が可愛いなと、思って…すみません」

初めて言われたそんなこと。飲み方が可愛いって…お前、お前の方が可愛いだろ…!いやそんな話じゃないか。

「ありがとうな…?」
どう返せばいいか分からずに意味の分からないお礼を言ってしまった。
結局会話は続かず、三好曰く飲み方が可愛いらしいシェイクを飲み干して、ポツポツ一言二言会話をしながらメガマックも食べきった。

そしてポテトに手を出しながら大分雰囲気も和らいでまともな会話をしはじめたとき、ポケットからデフォルトの着信音が鳴った。
そうだった。昼飯はただの自由時間で今日は平日。
午後の部の仕事が待っている。

そう思って携帯を開けば、思った通りトムさんからのメールで、待ち合わせの時間と場所が書いてあった。
ここから歩いて丁度の時間くらいか。

ああくそ、折角久しぶりに癒されてたってのにまた苛々させる奴らの取り立ての仕事か。
いや悪いのはトムさんじゃない。テレクラで一々借金なんか作る奴が悪いんだ。

大体返せない金作る前に考えろよ。ご利用は計画的にってTVでもよく言われてんだろうが。あいつらは何かにつけて言い訳しやがってあームカつくあー苛々してきた。

「わりい三好。仕事入ったんで抜けるわ。残りだけでやるよ」
三好にそう告げると少し寂しそうな顔をして、がんばってくださいと言われた。

返事代わりに片手を上げて、さあ歩くかと思って三好に踵を返したとき、「あ」という声に呼び止められた。

「これよかったらどうぞ」
差し出されたのは絆創膏三種。全部柄が違うんだが絆創膏集めが趣味とかそういう奴なんだろうか。

「怪我には気をつけてくださいね」
言葉もない…語呂が少ないわけじゃなくて、なんでこいつはこう、可愛いんだ。
今なら思い切り抱きしめられると思ったけど、俺にはそんな度胸も加減できる力も無かったから。

「サンキュ」
わしゃわしゃと頭を撫でて絆創膏を受け取ってから今度こそ三好に背を向けて歩き出した。





いつか今日みたいなチャンスが来て、そのときは抱きしめられるといいと思う。







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すばらしい企画ありがとうございました!
なのにこう、二個も提出したくせにクオリティが低くて…ホントすみませんでした
always lover様に提出します




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