企画 | ナノ


授業中、女の子はこそこそ手紙を回したりするらしい。
男は先生の目を盗んで後ろや隣の席の人と喋ったり、聞いてるフリしてノートに落書きをしたりもするそうだ。
大半の人はまともに受けてるんだけど。

僕は多分真面目の部類だから、少なくとも授業中のお喋りはしない。たまに話しかけられて軽く話すことはあるけど。
あれ、やっぱり真面目じゃないのかな…?
まあそこは今はいいか。

とりあえず僕は授業は真面目に受けたいと思ってるということ、それが言いたかったんだ。
だから僕の隣が三好くんで本当によかったと思う。
元々口数は少ない方だからムダ話と言われるお喋りもしないし、友達だし。

「帝人くん?」
小声で名前を呼ばれて意識を外に向けた。
黒板には既にダラダラ長ったらしい文字だらけで、対称的に僕のノートはあまりにもすっきりしていた。
慌ててノートに文字を書き込む。
声を出さず動作で笑う三好くんを軽く睨んで恥ずかしさを誤魔化した。

今、僕と三好くんの机の側面はぴったりくっついて、境界線に教科書が一つ乗っている。
僕がうっかりしてこの時間の教科書を忘れてきたのだ。
正臣に借りようと思ったけど生憎正臣は同じ教科書を持っていなくて、じゃあ他の人にとモタモタしているうちに時間切れのチャイムが鳴ってしまって。
最終手段として三好くんに頼んで、こうして机をくっつけている訳なんだけど。

「今日は忘れっぽいね」
「三好くんはちゃんとノートとってるの?」
小声で会話をしながら三好くんのノートを覗き見た。
とりあえず反抗してみたけど、三好くんはやっぱりちゃんと黒板についていってる。
「……今日は忘れっぽいんだよ」
…わけでもなかった。

「珍しいね?」
自分のことは棚に上げて訊いた。やっぱりいつもと違う行動には理由を訊かずにはいられない。

三好くんはうーんと少し考えて、
「帝人くんを見てたら書くの忘れてた」
多分そんなとこ。と三好くんは黒板の写しを再開しながら言った。

対して僕はというと、まだシャーペンは右手の中で大人しく握られたまま動いてない。
だってそんな、女の子だったらきっと照れるような言葉。
「顔赤いよ?」
かつてないくらいの授業妨害だ。しかも不意打ち。

「僕のことは見ないでいいから」
「?」
三好くんは首をこてんと傾けて、ますます顔を覗き込んできた。
ああもう、顔見れなくなったし黒板も見れないし。

「大丈夫?」
お願いだから無自覚でもこれ以上からかわないで欲しい……!

先生の呪文みたいな演説も周りのちょっとしたお喋りも遠くに押しやって、天然くんが隣なことを後悔しながら僕は完全に授業放棄をした。
…でもなんとなく嬉しいような……もう。
これからどうしようか。









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帝人はヨシヨシと隣なんだからその立場で美味しいことの一つや二つきっとあったのよ!という妄想です

always lover様に提出します




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