「ティエドール元帥の紹介できましたステファニー・ウィルホイットと申します。室長に謁見したいのですが‥‥」

やっとの思い出たどり着いたこの黒の教団。崖を上った後はどうすればいいのか迷ったステファニーは、とりあえずぶんぶんと周りを飛んでいる黒い飛行物体に話し掛けてみた。(これがゴーレム?)しばらくして、黒い飛行物体から若い男性の声が返ってきた。今まで紹介状と彼女を照らし合わせていたのだろうか。

「うん、元帥から紹介状貰ってるよ。ようこそ黒の教団へ。先ず後ろの門番の身体検査受けて」

門番?そんなもの、どこにいるんだ。ステファニーは振り返って辺りを見回したが、それらしき者又は人物なんていなかった。すると突然、強烈な光がステファニーを照らした。反射的に目を瞑った彼女は、予期していた痛みが来ないことを不思議におもい、目をうっすらと開けた。

「(‥‥)」

光を放出していたのは、教団の悪趣味な飾りと勘違いしていた巨大な顔のオブジェだった。よく見れば、顎のところに【Gate Keeper】と書いてある。へたしたらアクマより恐ろしい。ステファニーは内心ビクビクしながら検査を受けていた。(近くないですか距離)

「セーフ!開門んんん!」

ンゴオオオオオ。ゲートが開き、その先には団服(と思われる服装)に身を包んでいた可愛いらしいアジア系の女の子が立っていた。てっきりむさくるしい、厳つい男に出迎えられるとおもっていたステファニーは少し驚いたが、同時に安堵をおぼえた。同世代の女子がいるだけで不思議と安心できるものだ。
カツン。ステファニーは2メートル以上の高さがあるゲートをくぐり、女の子の前に立った。

「はじめまして。」
「はじめまして。私は室長助手のリナリー。室長のところまで案内するわね、よろしく」
「よろしく。」

ステファニーはぼうっと辺りを見回した。広いな‥‥。入城したときから黒の教団の広さに驚愕させられていた。もう広いってものじゃない。正直案内されても道を覚えられそうにないな。方向音痴ってわけではないが、これは地図でも貰わない限り絶対に迷うという自信がステファニーにはあった。

「ステファニーはハーフなの?」
「ええ、まあ。アメリカと日本のハーフだよ。」
「としは?私より年上だと思うんだけど‥‥」
「16。リナリーは?」
「14。やっぱりお姉さんなんだね。」

14歳という、まだ義務教育を終えてない年齢の子が世界のために命をかけて闘わなければいけないなんて、世も末だな。ステファニーは仮に自分だったら絶対にごめんだと思いながら、リナリーの横を歩いた。





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