目に映るのは真っ白な包帯と、彼のうつむいた顔。私はそれをぼんやり眺めながら、情けないなあと思った。いつも迷惑をかけてばっかりで、だから今回こそ見捨てられてしまうんじゃないだろうか。ていうか見捨てられたっておかしくない。それくらいのことを私はやってしまったから。誰にも言わずにここに来るのはやっぱりまずかったかと思っても、意味なんてないことは分かっている。不意にできました、と彼は顔をあげて私をみた。その表情はいつもと同じ変わらない、優しい微笑み。私の右足にはきれいに包帯が巻いてあった。彼は包帯を巻いた場所にキスを落として、私を強く抱きしめた。息遣いが耳のすぐ横で聞こえて恥ずかしい。きっと耳まで真っ赤になっているんだろう。私は彼の背中に腕をまわした。


「とても心配しました。いつまでも貴女が帰ってこないから」
「ご、ごめんなさい…」
「夕暮れ時には一人で出歩くなと、あれほど言ったんですけどねえ」
「……す、いません」
「…怖かったでしょう。どうして私を頼ってくれなかったんですか」


彼は寂しそうにそう言って私に目線を合わせた。違う、私は彼にそんな顔をさせたいんじゃない。笑って欲しいのに。もう一度ごめんなさいと謝って、彼に抱きつくと彼は私を抱きしめて。自分勝手なことをしたのに、こうやっていつもすべてを許してくれる。やっぱり大人だなあと頭の片隅で思った。


「わかってくださったなら、それでいいです」
「…大蛇さん、」
「はい、なんでしょう」
「……ありがとうございます」
「あ、そういえば足を怪我したんでしたっけ」
「…え、?」


若干噛み合わない会話に顔を上げると、彼はにっこり笑って私に手を差し出していた。多少の疑問を抱きつつ手を合わせるとそのまま引っ張られて抱き上げられる。所謂、お姫様だっこというやつで。


「ち、ちょっと、大蛇さん!」
「私を頼ってくれなかった罰です」
「っ、あの、このまま、」
「みんなのところへ行きますよ。もちろん決まってるじゃないですか」


私は彼の首に抱きついて顔を埋めた。恥ずかしすぎる!




こういう時は頼ってくださいと言ったでしょう


(これからは私に頼るんですよ?)
(…は、い…)





(091203)




カミ様の気配があったのに誰にも言わずに一人で出かけたら襲われちゃったって話。
この後みんなにからかわれるんだろうな…お姫様だっこだもんなあ…
みんなに追及されても大蛇さんはにこにこ笑ってるんだよ、きっと。笑



「その飴色で、私を。」さまに提出いたします!






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