ntd01 | ナノ


いつも通り(時オカ/リンク)





※男夢主×男キャラ


「じゃあさっきファントムガノンが言っていたのは本当に…」

「ああ、本当さ。オレは、あの忌まわしい魔王、ガノンの実弟だよ。…別に最近になって知らされた訳じゃない、初めから、それこそ生まれた時からもう知っていたよ」


言ってしまった。
言ってしまった以上引き返す訳にもいかない。

どんな反応をされるんだろう。
オレの正体を知った瞬間、町人は化物扱いした。
ゲルドの仲間は皆、オレを恐れた。
お前は?
オレは、多分お前に拒否されるのが、一番…


「…そんな顔するなって、今まで隠してたのは悪かったよ。でも、」

「キミこそ、そんな顔するなよ」

「は?オレ?」


リンクは小さく笑うと近付いてきた。
今、どんな表情をしているかなんて分からない。
でも、そうか、お前は笑ってくれるんだな。
お前に消されるのなら、オレも思い起こす事なんて、何もない。


「これが最後みたいな顔するの、やめろよ」

「え…」

「キミが、ガノンの弟だろうとそんなの今更、全然関係ない。アングル、キミはいつでも俺の一番大切な仲間で、一番……そんな感じだよ」

「そんな感じってどんなだよ。…ははっ、そっか…お前はオレを避けずにいてくれるんだな…」


思わず、泣きそうになった。
リンクは変わらずいてくれた。
まあ七年間寝てたんだから変わるわけないだろ、っていえばそれまでなんだけども。

オレは一人だった。
リンクが突然消え、力を手に入れたガノンはハイラルを汚していく。
自分の正体がもしバレたらどうしよう、って馬鹿みたいにずっと怯えていた。
…オレは、この七年間で、随分臆病になったと思う。怖いんだ、この世界が。

リンクは少し意地悪そうに笑うと答えた。


「当たり前だろ。寧ろ俺としては、そう疑われてた事の方が、少しショックなんだけど」

「あ…そうか、いや、悪かったな…」

「冗談だよ。素直に謝られるとなんか調子狂うなあ。今まで通りにしてくれよ」

「…ああ、努力するよ」


オレがそう答えると、まだ不服そうだったがリンクは頷いた。

今まで通り、って言われたって七年離れていたんだ。
正直、今まで通りがなんなのか分からなかったりもするんだけども。


「…なんだよ?何か言いたそうだよな」

「いや…その、アングル小さくなったなって…」

「お前が無駄に大きくなっただけだろ!ったく、まさかお前なんかに抜かされるとは思わなかったさ、昔はあんなに小さかったのに…」

「いつも通りってそんな感じだよ。あ、でも俺別にチビじゃないからな?」

「…いや、お前はチビだよ。今だってな」

「だからチビじゃないって!少なくとも今は俺の方が大きいじゃないか」

「はいはい」


そういう事を一々気にしてるのがチビだってんだよ。
ってまあ、オレも少し見栄張っちゃったけどさ。

きっと昔と変わらないリンクは、オレを置いていく事はないと思う。
でも、もしオレが足手まといになったその時は容赦なく捨てていってほしい。

あのチビにハイラルの未来がかかってる。
オレはお前の気持ちなんか分かりたいとも思わないけど、その重荷をオレが少しでも支えてやる事が出来るなら。

オレにもいつも通りが少し、帰ってきたみたいだ。



.......................

back





*
- ナノ -