Tales03 | ナノ


いつかは必ず(TOW3/ユーリ)





※男夢主×男キャラ


「そういえばローウェルさんはどこに寝泊まりしてもらいましょうか…イアハートさんは良いとして…」

船長がそう頭を傾げたのに対しユーリはあっさり答えた。

「?普通にこいつの部屋でいいだろ」

「なっ…未だ殆どの人が入ったことない部屋にですか!?入るだけで苦労するんじゃ」

「え、さっき入ったけど」

平然と答えるユーリに少し呆気にとられてるようだ。なんともいえない目で私とユーリを交互に見ると小さくため息をついて言った。

「…そうですか。ウィレムさんが構わないなら僕は別に良いですよ。確か貴方前にふとん、とかいうの買ってましたよね」

ああ、いつの日か通販で買ったやつか。奥底に閉まったような気がする。あれ出すのか…面倒くさ…。てか今更同じベッドでも問題ないですよ…。

「……彼を甲板で寝かせる訳にもいきませんしね、私は構いませんよ」

そう言う訳にもいかないから適当に誤魔化して言った。多分、俺達の関係が普通でないことくらい分かっているから。

「じゃあ後は貴方達におまかせします」

「おう。色々すまねーな」


***


「ふーん…殆どの人が入ったことない…ね、随分壁作ってるんだな」

部屋に入るなり椅子にさっさと座るとユーリは部屋を見渡した。一人用ベッド(ちょっと大きいけど)に学習机(バンエルティア号に埋もれてたのを貰った)、それに俺…いや、私が大量に作ったぬいぐるみとポスターが少々。長門マジ天使。後は引き出しに全部つっこんだ。

「余計な事は良いですよ。それより少しは…っと」

「別にふとんなんか必要ねーよ。一つベッドがあれば十分だろ?」

「いや…だって狭いし…」

「そんなことないだろ?てか何、今更?」

「…ユーリははじめからそのつもりだったんですね」

「あーまあ。そんなもんしまってこっちこいよ」

「…俺は今日早く寝たいんですけどね。…ねえ、ユーリ」

「…どうした?」

「自惚れだったら、すいません。俺に、会いにきてくれたんですか?」

「……ぷっ」

「な…う、自惚れなのは分かってます!け、けど…」

「くくっ…ほんと何を今更…お前に会いにきた以外に何の理由があんだよ…」

「…なんで……」

「お前、よくそういう反応するよな。…ヴィルの事が好きだから、だろ?あ、心配すんなよ、ティティは知り合いに預けてっから」

「っ…簡単に、そんなこと」

「簡単じゃないさ、恥ずかしいに決まってんだろ…でも折角、また会えたんだ。伝えたい事はちゃんと伝えないと、後悔なんてしたくないしな」

「…俺だって、ユーリが…」

「……オレがなんだって?」

「だから…」

「だから?」

「ーっ、大好きだって、言ってるんですよ、馬鹿!」

「うおっ、と。馬鹿…ね、ヴィル、こっち向けよ」

「…やだ」

「ったく…まあ良いけどよ?暫くはまた一緒にいられるんだからな」

「……ええ」


暫くは。その暫くが終わったら?
折角ユーリに会えたのに、同時に再び別れなくちゃならない事。

そう考えたら、胸が痛んだ。


.......................


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