いっそその刃で(まるマ/コンラッド) |
※男夢主×男キャラ ボクの目の前で、彼は死んだ。 止まらない血と彼の名を呼ぶ声とボクは? 訳がわからない。 どうしてボクは、血のついた、剣なんて。 ボクは、彼を。 「メーリ!!」 「え……コン、ラッド…?」 「…ええ、魘されていたから…メーリ?」 ああ、またこの夢か。大切な人をボクが殺してしまう夢。 どうしてボクはこんな夢なんか…? 「…バカみたいだ、夢で泣くなんて」 「なにか、怖い夢でも見ましたか…?」 コンラッドはボクの涙をそっと拭いながらそう聞いた。 …大丈夫、あれは夢だ。だってコンラッドは穏やかな、でも心配そうな顔でボクを見ていてくれるんだから。 「ボクが…人を殺すんだ」 「メーリが?」 「うん。ボクがね、コンラッドを殺すの」 ボクに触れようとした、彼の手が止まった。 …当たり前だ。自分を殺す夢を見た、なんて奴に躊躇いもなく優しくなんてできるはずがない。 いつも言わなくてよかったのにって後悔する。でも言っちゃったんだ。 ボクはそっとコンラッドの体を押した。 「コンラッド、って皆が叫ぶのを聞きながら、ああ、ボクが刺しちゃったんだなって気付くの。なんでかわかんなくて、頭の中ぐちゃぐちゃになって、それで夢が覚めたんだ。…起こしちゃったみたいでごめんね」 「…いえ」 どうしてボクは、よりによって彼を刺してしまったんだろう。さっきから涙が止 まらない。刺してしまったボクに、泣く権利なんてないのに。 「…メーリ」 「え、ん…っ、コンラッド…?」 名前を呼ばれて反射的に顔を上げたら、何故か突然キスをされてベッドに押し倒された。 辺りが暗くて、彼の顔が見えない。 「オレのために、泣いてくれるんですか」 「…でも、ボクがコンラッドを殺しちゃうんだ」 言葉にするだけでも凄く辛い。一体、どこにこの弱気なボクにそんなことをする気力があったんだろう。 でも、だって、夢の中のボクは、確かに。 「…貴方は、オレを殺したいですか」 「そんなわけない!そんな…はず…っ」 そんな勘違いされたくない。 ボクは頭を精一杯横に振りながら否定した。 「…すいません、試すような真似をして。またオレは、貴方を泣かせてしまった」 「ごめん、なさい…ボク変な事言って…。ごめんなさい…」 「謝らないで、貴方は何も悪くないのだから」 こんなに泣いてくれて、それにきっと彼は後悔の気持ちも重なって、オレを忘れ る事なんてなくなるだろう。 歪んだ形でも、彼のその心にずっといられるなら、いっそ。 コンラッドは涙を流す少年をそっと抱きしめながら、口の端を小さく上げた。 ....................... ←back |