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とあるなつやすみ(まるマ/勝利)





※男夢主×男キャラ

「めーちゃん」

「なあに…あっくそ先制されたっ」

「…どっか遊びに行く?」

「行く」


思った以上に即答だった。


***


「あらあら二人共お出かけ?」


俺はパソコンを閉じ、名利はゲームを終わらせ支度をし、下に降りてくると丁度
洗濯物を持っていこうとしていたらしい母さんに出会った。


「まあ、そんな感じかな」

「そうよねこんな快晴なんだもの、お部屋に籠ってばかりじゃ駄目よね。あーあ私も出掛けたいなあ」

「父さんに頼めばいいじゃないか、今日休みでしょ?」

「それもそうね!カチューマくーん?」

「はあ…名利行くぞ」

「え、でも母さんは」

「いいから。行ってきまーす」

「行ってきます…?」

「だからお出かけってしょーちゃんめーちゃん?いってらっしゃーいってちょっと待ってよー!」


なんでさっさと出ちゃったんだろうって思ったけど、勝利に手引っ張られてなんとなく分かった。なんだ、そういうこと。


「お前…わざわざ両親付き添いにする事ないだろ。俺が何で出掛けようなんて言ったのか」

「分かってるよ。デート、だろ?」

「…めーちゃんは可愛いなあ」

「っなんだよ!」


首かしげて上目遣いで聞いてくるなんて天然侮れない。
俺たちは兄弟…でしかも男同士だっていうのに俺たちの関係は恋人、だ。
前々から名利の事を有利とは違う意味で可愛いと思っていたし、なんとなく自分
でも気付いてはいたが態々伝えて距離を放す必要もないだろうと思っていた。
だが、あろうことか名利の方から告白してきたのだった。
あの普段は弱気な名利だ。きっと俺に言うのだって凄く緊張しただろうし、相当悩んだのだろう。
俺が承諾した時のめーちゃんの笑顔を俺は一生忘れないだろう。ああ…なんて可愛いんだめーちゃん…。


「勝利!」

「えっ、ああごめんごめん」

「ごめんじゃないよ!全く誰もいないのに一人で話しちゃったじゃんか」

「いやちょっと告白してきた時のめーちゃんを思い出して…可愛かったなあ」

「それを言うならあの時の腑抜けた顔の勝利は爆笑ものだったね、くくっ…今思いだしても笑える…」

「そういうのは思い出すなよな」


まあ別にこの名利からあの時のお兄ちゃんはほんとかっこよかった、なんて言ってくれるとは思ってないからいいけどな…。


「…これはいっか」


***


「まあ行くところは決まってるよねえ」

「良いじゃないか、別に」


で、電車に乗ってきたところは秋葉原。デート、とか言ってみたって結局行くところなんていつもと変わらない。…っていうかこの年になって兄弟二人きりで遊園地ってのもまあ、有り得ないよなあ。


「お前も欲しい漫画があるとか言ってたじゃないか。それとも…あ、上野動物園にでもパンダ見に行くか?人凄いだろうな」

「なんで動物園…いや、パンダは止めとくよ。トラウマが…」

「トラウマ?」

「なんでもないよ。別にボクはどこでも構わなかったんだから」


ただ勝利と一緒に出掛けたかっただけなんだし。ボクがそう言うと勝利は少し照れたように頭を掻いてから次行くか、と手を出してきた。


「勝利って、ちゃんとエスコートできるんだね、意外」

「伊達にギャルゲばっかやってるわけじゃないからな」

「それ威張る事じゃないよ」


ドヤ顔されたけどなんだかんだでかっこいいなとか思うボクはかなりの重症なんだと思う。
結局ボクだって、勝利にベタ惚れなんだ。

…言わないけど。


.......................


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