これはこれで。(よんアザ/アクタベさん) |
※男夢主×男キャラ 今日のアクタベは機嫌が悪かった。 「よ、さくちゃん。アクタベいる?」 「ラムくん…あ、ええと…」 事務所への階段を昇ると入り口でさくちゃん達が何か騒いでいた。 俺が話しかけるとなんともいえない表情で答える。…ああ、もしかして? 「アクタベさん今日機嫌が悪そうだから…近付かない方が」 「ああ、成る程」 これは素直に退出した方がいいかもしれない。この日は少々厄介だ。 でも折角来たんだしアザゼルくん達と麻雀でも… 「…おい、ラムエル」 「あ?俺の事呼んだ、っ」 アクタベの声に顔を上げた瞬間、いつの間にか目の前にいたソイツに胸ぐらを捕まれ事務所へと投げ飛ばされた。 「ちょ、アクタベさん!?」 咄嗟だったから上手く回れなくて少し肩を打ったが重症ではない。でも悪魔と違ってグリモアがあるから治癒力が高いとかそういうのないんだからさあ。 さっきまで俺がいたところではさくちゃん達が呆気に取られていた。とりあえず手くらい振っておく。 「後は出ていけ、目障りだ。お前ら全員この部屋から消えろ…オレがいいと言うまでこの部屋に近づくな」 「んなこていったってラムちーは」 「あーアザゼルさんいきましょうねーベルゼブブさん?」 「忘れものが……」 「だめですよ、早く出ていかないと怒られちゃいますよ!」 べーやんは何か意味ありげにソファを見ながらさくちゃんに連れられ扉が閉まった。 アザゼルくんは?あ、窓から飛んでいった。 …ん、そういえば、ソファ? 「あれ、モロク?」 「…」 「な訳ねーか、グリモアは奴が持っていったんだ…事実昇進してるしな」 うーん、あれかあの例の人形か。 しっかし良くできてるなあ。ぷにぷに触ってみた。……質感ヤバくね? 「なあアクタベこれどこで…って寝るの!?」 「…うるさい」 「あ、悪…ってじゃあなんで俺なんか……まあいっか、ソファじゃ痛くね?毛布とかねーのかよこの事務所」 「要らねえ」 「…そうかよ。……ゲームしてていい?」 何も返事がないから良いもんだと思い俺は机の中に終ってあるゲーム機を取り出した。 キレられるといやだから小さい音でやるけど…なんでこいつわざわざ俺をここに置いたんだ?あっさり寝ちまうし。 …あ、そうだ。 「アクタベ、膝枕したげよっか?」 「は…」 お、反応を確認。 予想外のことだったのか呆気にとられてる、なんて珍しいなあ。 俺はゲームを投げ出してアクタベが寝てるソファの前にきた。 「枕ないと痛くね?」 暫く無言だったが小さく溜め息をつくと起き上がった。 いいのか! さっきまでアクタベが頭を置いていたところに俺はドサッと座った。 「……硬い」 「ま、性別的には男だからなあ」 一言、文句を言われたが其れきりで、アクタベはまた本をアイマスク換わりにおくと寝てしまった。 あ、いや実際寝てるのかはしらないけども。 アクタベの寝顔を拝めるかと思ったのに残念。 本を退けてみようかとも思ったが殺される気がするからやめとく。え、勘だよ勘。 さっきアザゼルくんがガラスを割って地面に落ちたお陰で風が通り抜けて気持ちが良い。 …俺は人が住むこの世界も嫌いじゃないんだけどな。 どうやら俺は天界内では異質らしい。 でも困っている奴を助ける事に意味なんてないだろ?天使だって、人だって悪魔だって。 「…なんて、考えても仕方ないか」 柄にもなく考え込んでしまって俺は苦笑した。 こう、適度に静かな環境だと何か色々考えてしまう。 一頻り笑ってから溜め息をついたら、いつの間にか、規則正しい寝息が聞こえてきた。 いつものアクタベからは想像できなくて小さく吹き出した。 「ってさっきから俺笑ってばっかだな」 機嫌が悪いアクタベは怖いけどこういう日もたまには良いんじゃないの、って思いながら俺はもう一度、笑った。 ....................... ←back |